Workivaの調査:94%の企業がCSRDへの対応を計画

94%の企業がCSRDへの対応を計画

5月17日、ビジネスデータおよびレポーティングソリューションプロバイダーであるWorkivaが発表した新しい調査によると、欧州および英国のほぼすべての上場企業が、EUの次期企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に準拠することを計画しており、義務化対象外の企業の大多数も含まれていることが判明した。これは、サステナビリティと財務報告の統合が、開示実務における「新しいゴールドスタンダード」になっているためである。

しかし、企業は新規制の報告要件を満たすことを目指す一方で、CSRDの発効を来年に控え、サステナビリティ報告の機能とプロセスの統合をより進める必要性があることも調査で示された。

報告書「アニュアルレポーティング・バロメーター2023」で、Workivaは、英国、アイルランド、スペイン、ドイツ、オーストリア、スイス、フランス、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクを含む市場の上場企業で企業報告を担当する500人以上の財務責任者に調査を依頼した。

CSRDは、大企業から2024年初頭の適用開始を目指しており、現在のEUのサステナビリティ報告の枠組みである2014年の非財務報告指令(NFRD)を大幅に更新することを目的としている。新規則では、サステナビリティの開示が求められる企業数を現在の約12,000社から50,000社以上に大幅に拡大し、企業が環境に与える影響、人権や社会的基準、サステナビリティに関するリスクについて、より詳細な報告要件を導入する。

規制の施行が数カ月後に迫っている中、調査回答者の94%が2024年までにCSRDに準拠するよう取り組んでいると回答している。英国のような非EU諸国の企業など、新規制への準拠が義務付けられていない企業でも、59%が統合報告戦略をCSRDに自主的に合わせる予定であると報告しており、新規制に向けた準備を進めている。

報告書は、「競争優位性を維持するために、統合報告書と統合報告書の実践が新たなゴールドスタンダードになりつつある。CSRDは報告書に求められる水準を引き上げており、CSRDの適用範囲外の企業は、EU圏の同業他社に追いつく必要がある。」と述べている。

また、報告書では、企業は新規制の下での報告義務の負担増に対してまだ準備ができていない可能性があり、サステナビリティと財務機能を統合するためにさらなる作業が必要であると指摘している。例えば、調査回答者の44%がサステナビリティと財務の連携を最適化する計画があると回答した一方で、現在この連携の改善に取り組んでいると回答したのは10%、財務、サステナビリティ、リスク間の連携については6%にとどまった。

同様に、ほとんどの回答者(81%)が財務報告プロセスにおけるESGの統合に満足していると答えた一方で、統合報告の定義がチームの統合(67%)、文書作成に関するプロセス(68%)、データ照合(60%)には及んでいないことも示した。

また、財務報告プロセスにサステナビリティ指標を追加する際の主な懸念事項を尋ねたところ、「データの信頼性」(36%)、「スケジュール」(35%)が上位を占め、「監査」「リスク態勢と管理」「他のチームとの連携」がそれぞれ31%という結果となった。

【参照ページ】
(原文)Workiva Report Raises Concerns About CSRD Readiness Among EU Companies
(日本語訳)Workivaの報告書、EU企業のCSRDへの対応に懸念の声

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