5月15日、デンマークに本社を置くエネルギープロバイダーであるØrstedは、デンマークエネルギー庁(DEA)から、年間40万トン以上のCO2を除去・貯蔵する予定の炭素回収・貯蔵(CCS)プロジェクト「Kalundborg Hub」の20年契約を獲得したことを発表した。
ØrstedのKalundborg Hubプロジェクトは、同社が保有するデンマークの発電所のうち、ニュージーランド西部のKalundborgにある木屑焚きのAsnæs発電所とグレーターコペンハーゲン地域にあるAvedøre発電所のわら焚きボイラーに炭素回収装置を設置するものである。2つの熱電併給(CHP)発電所は、地域暖房システムであるグリッドに接続されており、独自の港を持つため、炭素燃料やグリーン燃料の取り扱いや輸送のハブとして機能する。CHPプラントは、自社の炭素を回収・輸送するハブとしてだけでなく、他のプレーヤーが生産した炭素を輸送するハブとしても機能することになる。
Ørstedは、2025年に工場から排出される生物起源炭素の回収・貯蔵を開始し、2026年初めから毎年約43万トンのCO2を回収・貯蔵する見込みである。
本契約は、2020年に開始されたエネルギーと産業に関するデンマーク気候協定の一部を構成し、2030年までに70%の排出量削減を目指すデンマークのCCUS助成制度の最初の入札となる。本制度は、CCSの取り組みに160億DKK(23億米ドル、約3,000億円)を割り当てるもの。DEAによると、Ørstedとの入札は割り当て額の約半分をカバーしている。
工場で回収された炭素は、北海のノルウェーにあるNorthern Lights貯水池に送られる予定である。Northern Lights projectは、Equinor、Shell、TotalEnergiesからなるジョイントベンチャーで、ノルウェー政府の本格的なCCSプロジェクトであるLongshipの輸送・貯蔵コンポーネントとして、2020年後半に開始された。Longshipは2020年9月に発表され、政府はパリ協定の気候目標に沿って世界の温室効果ガス(GHG)排出量を削減するための前提条件として、CO2回収・貯蔵について説明している。
また、本発表と同時に、Microsoftとの276万トンの炭素除去契約も発表され、この種の契約としては、これまで発表された中で最大級の量となった。
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Microsoftは、2030年までにカーボン・マイナスを実現し、2050年までに過去の排出量をすべて除去するというイニシアティブの一環として、本契約は最近の炭素除去契約の中で最新版となる。Microsoftは最近、気候変動対策企業のCarbonCaptureおよびスタートアップのClimeworksと、DAC(Direct Air Capture)ベースの契約を締結したと発表した。
Ørstedは、バイオマス焚き火熱電併給プラントでの炭素回収開発の技術的・規制的・商業的可能性を探るため、2021年にMicrosoftおよび炭素回収技術プロバイダーのAker Carbon Captureと協力関係を結んだ。Aker Carbon Captureは、本プロジェクトの炭素捕捉プロバイダーとして、同社の「Just Catch」ユニット5台をCHPプラントに提供する予定である。
【参照ページ】
(原文)Ørsted awarded contract – will capture and store 430,000 tonnes of biogenic CO2
(日本語訳)Ørsted、80万トン以上の炭素を回収・貯蔵する10億ドルの契約を獲得