4月21日、ロレアルは同社自然再生基金「L’Oréal Fund for Nature Regeneration(LFNR)」の新たな助成先として、NetZero、ReforesTerra、Mangroves.Nowの3社を発表した。同3社は、土壌での炭素捕捉、森林再生、マングローブの再生といった革新的なアプローチで、環境や地域社会に広く良い影響を与える可能性があるとして選出された。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、生物多様性保全の取り組みにおいて、よりグローバルな協力を呼びかける中、ロレアルは、自社のバリューチェーンを超えて生物多様性への長年の取り組みを加速させている。同社は、これまでに2,200万ユーロ(約33億円)のプロジェクトをコミットしたファンドを通じて、劣化した土地やマングローブの再生、海域や森林の修復を支援するために、実証済みの専門知識を持つパートナーとの提携を進めている。
NetZeroは、カメルーンやブラジルなどの熱帯地域で活動するフランスの気候変動ベンチャー。農業残渣をバイオ炭に変えることで大気中の炭素を長期的に除去することを専門としている。バイオ炭は、安定した無公害の炭素で、劣化した土壌を改善するために添加することが可能。IPCCでは、毎年10~20億トンのCO2排出を地球上の大気から除去できる可能性を持つ、実行可能なソリューションとして認識されている。
ReforesTerraは、アマゾンが直面する最大の課題の一つである牧草地によって劣化した2,000ヘクタールの土地の回復を目指す。プロジェクトでは、零細農家が直接植林を行い、自然再生に適した環境を整備することで、プロジェクト地域の75%を占めるロンドニア州リオ・ジャマリ下流域を再生する。残りの25%は、戦略的な植林を行い、野生動物を引き寄せて新しい森林を自然に繁殖させる予定。本プロジェクトは、ブラジルで最大規模の植林・再植林・緑化(ARR)プロジェクトの1つである。
Mangroves.Nowは、バングラデシュ、インド、スリランカなど過去30年間、マングローブの森林破壊の影響を最も受けてきた地域南アジア諸国において、コミュニティベースのマングローブ再生プロジェクトを促進する。同社は、以前は荒廃していた約2万ヘクタールの土地を回復し、地域コミュニティと公平な利益共有を行うため、地元NGOとの小規模なプロジェクトに資金を提供する機会を提供する。
LFNRは2020年に創設され、インパクト投資のために5,000万ユーロ(約75億円)の資金が提供される。2021年、ロレアルは最初の資金提供先として、英国初の自然再生事業であるReal Wild Estates Company(RWEC)と、フランスの農業セクターを持続可能な手法へと加速させるためのRIZEカーボンファイナンスの2つを発表した。
【参照ページ】
(原文)L’Oréal fund for nature regeneration accelerates biodiversity preservation efforts
(日本語訳)ロレアルによる自然再生基金、生物多様性保全の取り組みを加速化