3月14日、ユネスコの政府間海洋学委員会(IOC/UNESCO)の下での国際的な科学協力の結果、気候変動下での海洋植物プランクトンの動態に新たな光を当てる5つの研究論文が、The Journal of Plankton Researchに掲載された。
植物プランクトンは、大気中の炭素を取り込むのに役立ち、海を健全に保つ自然循環の中で重要な役割を担っている。しかし同時に、人間活動や気候変動の影響を受け、その生態系に悪影響を及ぼし、海洋の生態系を破壊する可能性がある。
植物プランクトンは海洋食物網の基盤であり、その存在量や組成が変化すると生態系全体に多大な影響を与えるだけでなく、炭素固定と呼ばれるプロセスを通じて大気中の炭素を取り込み、地球の気候を調節する上で重要な役割を担っている。植物プランクトン個体群の動態を理解することは、気候変動の影響を予測し緩和するために重要である。
植物プランクトンの個体数の変化は、海洋全体の健全性を示す重要な指標であり、地球の持続可能な発展にとって極めて重要である。植物プランクトンを研究することで、科学者は人間の活動や気候変動が海洋にどのような影響を与えているかをより理解し、この重要な生態系を保護・回復するための戦略を立てることができる。
気候変動と海洋植物プランクトンの世界的傾向を調査するIOC/UNESCO作業部会(TrendsPO)は、植物プランクトンの包括的で新規な分析を適用して、気候変動を含む地球で進行中の幅広い生態系の変化に関する全体的な理解の向上に役立てるために2016年に設立された。
同作業部会には14カ国から50名の専門家が集まり、IOC/UNESCOの調整の下、惑星の変化とその海洋生態系への影響に対する社会の対応に役立つ新しい知識と分析を生み出すために協力している。
TrendsPOは、The Journal of Plankton Researchに、「Trends in Phytoplankton over space and time」と題する特別テーマセクションのもと、最新の一連の新研究を発表した。
このセクションは、生物圏の管理をサポートするグローバルな時系列の実装の重要性を強調する論文(Thompson and Carstensen, 2022)で始まり、植物プランクトンの群集構造、気候変動、異常気象、富栄養化に対する生態系の反応、適応の可能性の理解に対する長期時系列の価値について良いケーススタディを提供する4つの論文へと続いている。
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(原文)UNESCO-led initiative releases new research on ocean phytoplankton and climate change