EU、CSRD/CSDDDが最終承認へ サステナビリティ開示は選択と集中の時代に

2月24日、EU理事会は、企業のサステナビリティ報告(CSRD)および企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)に関する規制の簡素化を正式に承認した。これにより、ここ1年余り続いてきた制度見直しの議論は最終段階を迎え、EUのサステナビリティ規制は、当初の拡大路線から「競争力とのバランス」へと大きく方向転換した。
2022年に、欧州では企業のESG情報開示と人権・環境デューデリジェンスを強化する制度整備が進められ、CSRDが採択。従来のNFRDが大幅に拡張され、ESRSに基づく詳細な開示を求めた。また、CSDDDは、2024年に成立し、サプライチェーン全体を対象とする人権・環境リスク管理義務を導入した。しかし、制度の本格適用が迫る中で、企業側からは「実務負担が過大」欧州企業の競争力に影響する」との懸念が強まった。これを受け、欧州委員会は2025年2月、「Omnibus 簡素化パッケージ」を提案。以降、欧州議会で協議が重ねられてきた。
CSRD/CSDDDは何が変わったのか(再確認)
① CSRDの適用範囲を大幅に縮小
中小企業や一定規模以下の企業が報告義務から除外され、実務負担が大幅に減少した。
- 報告対象を「1,000人以上従業員・€4億500万以上売上」企業に限定
- 一部企業(Wave 1として先行報告した企業等)の適用除外措置を設定
- 非EU企業についてもEU内売上基準(€1億500万以上)を明確
② デューデリジェンス義務の重点化
CSDDDについても、適用対象をより大規模企業に限定。
さらに、間接取引先への過度な負担を回避する設計とし、責任制度や義務内容についても柔軟性を高めた。
- デューデリジェンス適用対象を「5,000人以上・€15億以上」に限定
- 影響評価の重点化や間接サプライヤーへの過度な負担を軽減
- 気候変動移行計画義務の削除、EU統一の責任制度の撤廃
③ 実施スケジュールの再設定
加盟国による国内法化期限や適用時期も延長され、企業にとっては準備期間が確保される形となった。CSRD(Wave2以降の企業)の適用開始は、2027年1月1日以降に開始する会計年度。域外企業は、2028年以降の会計年度を起点とする対応が想定される。また、CSDDDでは、本格的な適用開始は「2029年7月26日から」となる予定だ。
CSRDとCSDDDは当初、EUのグリーンディール政策の柱として、グローバル基準を牽引する位置づけにあった。しかし、今回の簡素化は、制度の網羅性よりも競争力と実効性のバランスを優先する方向へのシフトを示している。結果として、義務内容は重点化され、“選択と集中”へと再設計されたといえる。
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