EU議員、海運の脱炭素化に向けた協定を発表

EU議員、海運の脱炭素化に向けた協定を発表

3月23日、欧州議会の議員およびEU理事会のメンバーは、海上輸送部門の排出量削減を義務付ける新規制「FuelEU Maritime」について、早ければ2025年から開始することで合意に達したことを発表した。

本合意は、自動車、道路交通、建物、農業など他の分野の脱炭素化に続き、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を1990年比で55%削減するという欧州委員会のロードマップ「Fit For 55」の交渉完了に向けた新たな一歩となり、EU内部のキャップ&トレード型炭素価格決定メカニズム「EU ETS」を強化する合意も得られた。

海上輸送は、EUの対外貿易量の約75%、対内貿易量の約3分の1を占めており、一次資源やコンテナ輸送の需要増により、今後も増加すると予想されている。本部門は、EUにおけるCO2排出量の約3〜4%を排出している。

Fit for 55イニシアティブの重要な一環として、FuelEU海事規制は、海上輸送の円滑な運営を確保する必要性とのバランスをとりながら、水上輸送における再生可能で低炭素な燃料の需要と使用を拡大し、この分野の温室効果ガス排出量の削減を促進することを目的としている。

規制には、海運部門が使用する燃料の温室効果ガス強度を、2025年の2%削減を皮切りに、2050年までに最大80%まで段階的に削減する要求が含まれている。本目標には、燃料の全ライフサイクルにおけるCO2、メタン、亜酸化窒素の排出量が含まれている。本規制には、自主的なプーリングメカニズムが含まれており、船舶は他の船舶との間でコンプライアンスをプールすることができ、グループ全体として原単位削減制限を達成することが要求される。

また、バースでのゼロエミッションの要件も導入され、旅客船やコンテナ船が港で陸上給電やその他のゼロエミッション技術を使用することが義務づけられる。

【参照ページ】
(原文)FuelEU Maritime initiative: Provisional agreement to decarbonise the maritime sector
(日本語参考訳)FuelEU Maritimeイニシアチブ: 海運部門の脱炭素化に向けた暫定合意

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2024-8-29

    CDPが新報告書を発表、上流Scope 3排出量の課題と解決策を提示

    CDPは6月、企業の上流Scope 3排出量に関する新たな報告書を発表した。本報告書では、サプライ…
  2. SBTiのカーボンクレジット方針見直しとその影響:基準の見直しの最新議論を解説

    2024-8-27

    SBTiのカーボンクレジット方針見直しとその影響:基準の見直しの最新議論を解説

    SBTi(Science Based Targets Initiative)が2024年に発表した…
  3. 2024-8-27

    オーストラリア上院、企業にサステナビリティレポートを義務付ける法案を可決

    8月22日、オーストラリア上院は法人法およびその他8つの法律を改正し、新たな気候関連財務報告要件を…
ページ上部へ戻る