ASIC、Mercerを提訴 グリーンウォッシュの取り締まりを開始

オーストラリア規制当局、Mercerを提訴し、グリーンウォッシュの取り締まりを開始

2月28日、オーストラリアの企業、市場、金融サービス規制機関であるオーストラリア証券投資委員会(ASIC)は、グリーンウォッシュに対する初の法廷闘争を開始したことを発表し、Marsh McLennanのMercer Superannuationに対して、同社の持続可能な投資オプションの一部について誤った主張を行ったとする訴訟を開始することを発表した。

ASICが発表した連邦裁判所への民事訴訟開始の声明によると、Mercerがウェブサイト上で7つの「サステナブル・プラス」投資オプションについて、石炭など炭素集約型の化石燃料に関わる企業やアルコール製造・賭博に関わる企業を投資対象から外すなどと主張していたと主張している。しかし、規制当局は、これらのオプションを選択した投資家は、BHPグループやグレンコアなどの石炭生産企業を含む複数の化石燃料企業、アルコール生産に関わる15社、ギャンブルに関わる19社に投資していたと指摘している。

ASICは、「Mercerは虚偽で誤解を招くような発言をし、一般大衆を欺くような行為に及んだ」と主張している。

Mercerに対する訴訟は、ASICのジョセフ・ロンゴ委員長が昨年発表した、投資ファンドや金融商品の提供者に対し、規制当局が誤解を招く持続可能性の主張に注意を払っており、ファンドマネージャーや発行者がグリーンウォッシュを行わないよう指針を示していることを受けて行われたものである。

それ以来、規制当局は、Vanguard Investments AustraliaやBlack Mountain Energyなど、いくつかの企業や投資会社に対して、グリーンウォッシングの疑いに対する懸念のため、侵害通知を出している。 Mercerのケースは、グリーンウォッシングの裁判としては初めてのものとなる。

ASICは、裁判所に対して宣言と金銭的な罰則を求めるだけでなく、 Mercerがそのウェブサイト上で誤解を招くとされる記述を続けることを妨げる差止命令と、 Mercerが裁判所によって認められた違反行為を公表することを要求していると述べている。

【参照ページ】
(原文)ASIC launches first Court proceedings alleging greenwashing
(日本語参考訳)ASIC、Mercerを提訴 グリーンウォッシュの取り締まりを開始

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-3

    英・豪銀行連合、中小企業のスコープ3把握支援で新会社 50兆ドル市場開拓へ

    6月24日、英ナットウエスト・グループ、豪州ナショナル銀行(NAB)、英スタンダードチャータード傘…
  2. 2025-7-1

    カナダ年金基金、2030年までに4,000億ドルの気候投資

    6月19日、カナダの大手機関投資家であるケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、2050年ネットゼロ…
  3. 2025-7-1

    GRI、サステナビリティ報告のデジタル化を促進する新「サステナビリティ・タクソノミー」を発表

    6月19日、GRI(Global Reporting Initiative)は、新たに「GRI S…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る