Deloitteサーベイ:石油・ガスセクターのM&A活動において、クリーンエネルギー案件が過去最高のシェアに成長
2月22日、プロフェッショナルサービス企業のDeloitteが発表した新しい調査によると、石油・ガス企業は、従来の炭化水素に焦点を当てた投資から、クリーンエネルギー技術のM&Aや取引活動に再注目している。
本レポート「石油・ガスM&Aの展望 2023: Pivoting for Change」によると、記録的なエネルギー価格や低いバリュエーションなどの典型的なディール推進要因が存在するにもかかわらず、石油・ガスのM&A活動は2022年に業界時価総額の3%という18年ぶりの低い水準に落ち込んだ。
レポートの共同執筆者であるDeloitteの米国エネルギー・化学品リーダーであるエイミー・クロニス氏によると、この現象は、「成長や市場シェア拡大のための投資や買収といった旧来のM&A活動のドライバーが、エネルギーセキュリティや業務効率に加え、エネルギー移行やESGを重視した検討といった新しいドライバーに取って代わられたようだ」という。
この結論を裏付けるように、2022年には炭化水素を中心としたM&Aが特に激減し、年間で35%減少した一方、クリーンエネルギーのM&Aは前年比約4倍の320億ドル(約4兆円)に達し、同年の石油・ガス企業の総取引額の15%を占めるまでに成長した。クリーンエネルギーの中では、バイオ燃料と風力・太陽光発電の複合資産がM&A案件の80%近くを占めた。
報告書によると、焦点のシフトはジョイントベンチャー(以下、JV)の分野にも及び、2022年の石油・ガス会社によるJVの約3分の1は、2020年のわずか13%から低炭素イニシアティブに焦点を当てたものとなっている。クリーンエネルギー関連のJVで最も多いのは、水素・アンモニア・窒素・持続可能な航空燃料などの関連燃料で、風力や太陽光から、供給源、燃料、炭素捕捉プログラムの組み合わせに焦点が広がっている。
本報告書では、ESGがM&Aの意思決定の要因になっていることも示されている。過去数年間の同分野の取引の70%以上に、買い手よりもESGスコアの高い売り手が含まれており、その影響は特に大規模な取引で顕著である。
【参照ページ】
(原文)2023 oil and gas M&A outlook Pivoting for change in five strategic moves
(日本語参考訳)Deloitteの調査:石油・ガスセクターのM&A活動において、クリーンエネルギー案件が過去最高のシェアに成長