10月26日、デロイトが発表した新しい調査によると、経営者は環境的に持続可能な慣行への投資に前向きである一方、経済や地政学的な外部要因が企業の進歩を妨げていることが明らかになった。
デロイトはオックスフォード・エコノミクスと共同で、14カ国、すべての主要産業部門、売上高2億5000万ドル(約363億円)から100億ドル(1.4兆円)を超える企業の経営者700人を対象に調査を実施し、新レポート「2022年気候変動チェック」を公表した。本調査は、気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に向けて実施され、ビジネスリーダーの視点から気候変動対策の現状を調査したもの。
本報告書によると、回答者の87%が環境的に持続可能な慣行に投資することは長期的な経済的利益をもたらすとし、75%が二酸化炭素排出量を削減することで組織が継続的に成長できると同意するなど、ほとんどの経営幹部がサステナビリティ活動の成果に対して前向きであることが明らかになった。
一方で、多くの回答者は、過去1年間の出来事が企業のサステナビリティの取り組みに影響を与えると指摘しており、約半数(45%)の回答者が、ウクライナ戦争やインフレなどの問題により、今後12ヶ月間に気候変動やサステナビリティ戦略を削減したと報告している。
しかし、後退する企業がある一方で、37%は今後1年間にサステナビリティへの取り組みを加速させる予定であると回答している。
報告書によると、ほとんどの組織が気候変動対策を積極的に進めており、回答者の約70%が気候変動緩和策と適応策の両方を策定して実行に移していると回答した。さらに、約25%が戦略計画を策定して今後1~2年のうちに実行に移す予定であると報告している。また、半数以上(57%)の経営幹部が、自社の事業活動において温室効果ガス排出を削減するために必要な技術に投資していると回答した。
また、グリーンウォッシングは企業にとって重大な懸念事項として浮上しており、経営幹部の2/3は、自業界で深刻な懸念事項になっていると報告している。「経営者が世界的にもっと注意を払うべきだと考える気候関連テーマ」においては、グリーンウォッシング(41%)は、気候パターンの変化に起因する国家的・国際的な安全保障上のリスク(50%)に次いで大きい数字となった。 その他の主なトピックとしては、公正な移行の確保(41%)、ビジネスの透明性と説明責任(34%)などが挙げられた。
同様に、COP27に向けて、企業の気候変動への取り組みを促進するために政府がすべきことを尋ねたところ、「グリーンウォッシングの取り締まり」が63%でトップとなり、「クリーンテクノロジーへの投資リスクの最小化」が57%でそれに続いた。また、半数以上の経営者が「政府は炭素税を導入して企業を奨励すべき」、44%が「企業の気候変動報告を義務付けるべき」と回答している。
【参照ページ】
(原文)Climate Action Ahead Of COP27 | Deloitte Global
(日本語訳)Deloitte の 2022 Climate Check Survey: COP27 に先立つ気候変動対策