10月25日、欧州理事会は、温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに55%削減(1990年比)させるEUの取り組み「Fit for 55」の一環として、建物の脱炭素化を目指したエネルギー性能規則の厳格化に加盟国が合意したと発表した。
今回の理事会の見解は、2021年12月に欧州委員会が行った初期提案を受けたもので、2030年時点ですべての新しい建物をゼロエミッションとし、2050年までに脱炭素化した建築ストックを達成することを求めている。
建物は、世界の温室効果ガス(GHG)排出の主要な原因であると同時に、その長期的な性質から、最も交換が困難なものの一つである。欧州委員会によると、建物はEUで消費されるエネルギーの40%を占め、エネルギー関連のGHG排出量の36%を占めている。家庭のエネルギー消費の80%は、暖房、冷房、給湯に使用されている。
欧州理事会の合意では、2030年までにすべての新築建物をゼロエミッションすることを義務付けるほか、2028年からは公共団体が所有する新築建物もゼロエミッションにすることを想定している。
既存の建物については、非住宅用建物では2020年1月1日の国内建物ストックのエネルギー使用量に基づく閾値を活用する。住宅用建物では2050年のネット・ゼロ軌道に基づき、建物が1平方メートルあたり年間使用できる最大一次エネルギー量に相当する最低エネルギー性能基準を導入する。
また、EU加盟国間の合意では、太陽光発電設備を、2026年末までに250平方メートル以上のすべての新築公共・非住宅用建物に、2029年末までにすべての新築住宅用建物に導入することが求められている。
【参照ページ】
(原文)Nearly zero-energy buildings
(日本語訳)EU、2030年までにすべての新築建物をゼロエミッションにすることを義務付ける規則を提案