9月28日、欧州委員会は加盟国に対し、欧州における貧困と社会的排除を削減するという継続的な誓約の一環として、自国のミニマム・インカム制度の近代化を行うよう要請した。
JRCの新しい研究結果によれば、現在のミニマム・インカム制度の貧困削減への貢献は、いくつかのEU諸国では限定的であり、比較的低いコストで効果的な措置を講じることが可能であることがわかった。EUにおける極度の貧困の根絶、すなわち、すべての人を貧困ラインの3分の2以上に引き上げることは、こうした制度に対する現在の支出を、EUのGDPの0.22%追加に相当する額だけ増やすことで達成可能である。 一方、すべての人を貧困線から引き上げるには、EUのGDPの0.95%、つまり1,333億ユーロ(約19.1兆円)の追加費用がかかる。これは、EUレベルで現在行われている最低所得保障の支出の2.2倍にあたる。
JRCの研究者は、税・給付マイクロシミュレーションEUROMODモデルを用いて、全27加盟国の既存の制度、その妥当性と適用範囲の拡大による改革の可能性、政府支出、受給者数、世帯所得への影響を評価した。
同研究は、欧州委員会が提案した「積極的包摂を確保する適切な最低所得に関する理事会勧告」に反映され、欧州における貧困と社会的排除を減らし、雇用を促進するための継続的努力の一環として、加盟国に対してミニマム・インカム制度の近代化を呼びかけるものである。主要目標は、2030年までに、少なくとも500万人の子どもを含む、少なくとも1500万人の貧困のリスクにさらされている人々の数を減らすことである。雇用に関するヘッドライン・ターゲットは、2030年までに20歳から64歳の人口の少なくとも78%が雇用されるべきという目標を達成することである。
JRCの分析の主要な点は、欧州委員会の提案に付随するスタッフ作業文書の一部である。 同提案はまた、様々な手段を通じてミニマム・インカム制度の効果を向上させる方法についてのガイダンスも提供している。(最低所得の取得、適用、妥当性の促進、資格基準の透明性と非差別性の確保、保育などの実現サービスや働ける人の労働市場へのアクセスの向上、その他。)
JRCのテクニカルレポート「The effectiveness of Minimum Income schemes in the EU」では、適用した方法論、使用したデータ、実施したシミュレーション、得られた結果について詳しく解説している。
【参照ページ】
Minimum income: more effective support needed to fight poverty and promote employment