米国、強制労働対策で60の国・地域に追加関税 サプライチェーン規制強化を各国に促す

7月23日、米通商代表部(USTR)は、通商法301条(Section 301)に基づき、強制労働によって生産された製品の輸入禁止措置を十分に整備・執行していない60の国・地域を対象とした追加関税措置を発表した。関税率は10%または12.5%で即日発効した。今回の措置は、各国に強制労働対策の法制度整備と執行強化を促すことを目的としており、グローバルサプライチェーンにおける人権デューデリジェンスへの影響が広がる可能性がある。

USTR、60の国・地域を対象にSection 301措置を決定

USTRは、2026年3月12日に開始した60件のSection 301調査の結果、対象となった国・地域が「強制労働によって生産された製品の輸入を禁止する制度を整備していない、または十分に執行していないこと」は米国商取引に不当な負担を与える行為に当たると認定した。調査期間中には45以上の政府との協議や公聴会も実施された。

「現代の奴隷制」をサプライチェーンから排除

USTRはファクトシートで、今回の措置について「現代の奴隷制(modern-day slavery)を世界のサプライチェーンから排除するため、貿易相手国にも輸入禁止措置の導入・執行を求めるもの」と説明した。また、米国は単に国内で強制労働製品の輸入を規制するだけでなく、各国にも同様の制度整備を求めることで、強制労働による製品が国際取引に流入することを防ぐ考えを示している。

大半の輸入品が対象、一部品目は除外

追加関税は幅広い輸入品に適用される一方、以下は除外となった。また、新たな措置は、これまで適用されていた暫定的な世界共通10%関税に代わる制度として位置付けられている。

  • 国家安全保障関税の対象品目
  • 一部の農産物・食品
  • 肥料
  • エネルギー関連製品

人権デューデリジェンスへの影響も

今回の措置は各国政府に対する通商措置である一方、企業にとっても人権リスク管理の重要性を一段と高める可能性がある。米国では既にウイグル強制労働防止法(UFLPA)などにより、強制労働に関連する製品の輸入規制が強化されている。今回のSection 301措置は、各国に同様の輸入規制の整備を促すものであり、サプライチェーン全体で強制労働リスクを把握・管理する企業の体制整備が一層求められることになりそうだ。

原文:Fact Sheet: USTR Section 301 Action in Response to the Failure of 60 Economies to Ban Imports Produced with Forced Labor


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