ISSB、人的資本開示の追加調査へ AIによる労働力への影響も検討

9月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、人的資本に関するプロジェクト進捗と今後の方向性を示した資料を公表した。方針では、引き続き、人的資本に関する開示について基準設定に移行するか、投資家の情報ニーズや企業のビジネスモデル、各国・地域の制度などを勘案しながら追加調査を進めることが。

今回の資料では、現在の企業による労働力関連の開示には「明確な不足がある」と整理されている。具体的には、投資判断に有用な情報が不足しているほか、開示されていても情報が一貫していない、不完全である、測定方法が不透明であるといった課題があった。また、労働力に関するリスク・機会と企業の戦略や財務上のリスク・リターンとのつながりが十分に示されておらず、投資家が第三者の情報源に依存するケースもあるとしている。

今後の追加調査では、以下の5分野が重点的に検討される。なお、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)やGRIスタンダードとの相互運用性も考慮される。

①労働力に関する用語・定義
②個別テーマについて投資家が必要とする具体的な情報
③ビジネスモデルと労働力関連リスク・機会の関係
④国・地域ごとの制度や社会的背景
⑤IFRS S1を適用した企業による労働力関連開示の状況 

日本ではすでに、2023年3月期から有価証券報告書における人的資本の開示が始まっている。サステナビリティ情報の記載欄では、人材育成方針や社内環境整備方針、それらに関連する指標・目標などが開示対象となっている。

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ISSBでは今回、AIの普及に伴う労働力への影響も追加調査の対象となった。プロジェクトを進める間にAIの導入が大きく進展し、投資家の情報ニーズも変化していると指摘。AIの利用によって生じる労働力関連のリスクと機会について、投資家がどのような情報を必要としているのかを改めて調査する。

なお、現在のプロジェクト名「Human Capital(人的資本)」を「Workforce-related Disclosures(労働力関連開示)」へ変更することが提案されている。「人的資本」という用語は市場で定義や使われ方が異なり、プロジェクトの対象範囲について共通理解を形成するうえで課題があったとしている。

原文:ISSB Human Capital


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