2030年目標は『設定して終わり』ではない――制度開示時代に求められるサステナビリティ経営の再点検

※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースやトレンドを取り上げ、独自の視点で考察しています。
2030年を目標年として、GHG排出量の削減をはじめとするサステナビリティ目標やKPIを設定している企業は多い。一方、目標設定から数年が経過する中で、企業を取り巻く規制や市場環境は変化し、サステナビリティ情報の制度開示も本格化しつつある。こうした変化を踏まえれば、2030年目標への進捗を確認するだけでなく、その前提となるKPIや施策、投資、さらにはマテリアリティが現在も妥当なのかを再点検することも重要だ。本稿では、2030年を一つの節目として、サステナビリティ経営を継続的に見直すために必要なプロセスと、その基盤となるデータ管理のあり方を考える。
2030年目標は「設定して終わり」ではない
多くの企業では、2030年や2050年の「ありたい姿」から逆算し、マテリアリティを特定したうえで、中長期目標やKPI、具体的な施策を設定してきたのではないだろうか。
しかし、毎年のように企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、1年前の状況とは大きく異なることも多い。さらに、サステナビリティ情報の制度開示が進み、企業には従来以上に、目標だけでなく、その達成に向けた戦略や進捗、財務とのつながりを説明することが求められるようになってきた。また、エネルギー価格や技術、顧客・投資家からの要請など、目標設定時には想定していなかった変化も起きている。
2030年まであと4年となった。現状において、確認したいのは単純な「KPIの達成率」だけではない。現在のKPIや施策、投資計画が、変化した経営環境の中でも2030年目標を達成する手段として妥当なのか。さらには、その前提となるマテリアリティ自体に変化がないのか。
2030年までに目標を変更することが目的はないが、目標を設定した当時の前提を固定したままではなく、環境変化に応じてその前提まで遡って再点検できる仕組みを持てているかどうか、企業のサスティナビリティ経営には今問われていると考える。
日東電工株式会社:2026年、社内外の環境変化やステークホルダーからの期待の変化を踏まえてマテリアリティを見直した。また、年1回は見直しの必要性を評価し、少なくとも3年に1回は各課題の重要性そのものを再評価するとしている。
三菱マテリアル株式会社:マテリアリティを毎年見直す方針を掲げている。「中経2030」の策定に合わせてマテリアリティや重点テーマ、目標を再設定した後も見直しを続けており、2025年度には重点テーマの一部を変更している。
こうした事例からも、マテリアリティを一度特定して固定するのではなく、経営環境や事業の変化を踏まえて継続的に再評価することが重要になっているといえる。
では、自社の「現在地」をどう捉え直し、KPIや施策、投資をどのように再点検すればよいのか。次章では、その具体的なステップを整理する。
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続きでは、サステナビリティ経営を継続的に見直すために必要なステップや考え方を整理しています。自社の目標設定やマテリアリティの見直しプロセスの再確認にご活用ください。
・KPI・施策・投資を再点検する具体的なステップ
・組織内での仕組みづくりの重要性
・さらなる将来にむけてどのような体制を構築すべきか
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<執筆者>

竹内愛子
国際関係学に関する修士号を取得。総合コンサルティングファームにて、システムおよび戦略コンサルティングに従事した後、Big4ファームのアドバイザリー部門にて、ガバナンス・リスクマネジメントや統合報告に関する企業向け支援に携わる。
2022年より ESG Journal にて、サステナビリティ経営の観点から、情報開示実務やそれを支えるシステム活用をテーマに、オリジナル解説およびホワイトペーパーの執筆を行っている。

