Scope3対応:サプライヤーデータ収集の実務 何を、誰から、どこまで集めるべきか

SSBJ基準、CSRD/ESRS、CDP、SBTiなどを背景に、Scope3の算定・開示や削減に向けた対応の重要性が高まっている。Scope3対応では、算定に先立ち、必要なデータを継続的に収集する仕組みを整えることが重要である。
しかし、Scope3算定に必要なデータをサプライヤーから収集することは容易ではない。どのようなデータを、どのサプライヤーから、どこまで収集すべきか、さらにはデータの精度をどのように高めるか、判断に迷う場合もあるだろう。
今回は、サプライヤーからのデータ収集について、環境省が公表する業界別ガイドライン・事例などをもとに、業種ごとの実務上の対応ポイントを整理する。
全サプライヤーから一律に集めるべきか
Scope3算定では、サプライヤーから1次データを収集することが推奨されている。しかし、ガイドラインやGHGプロトコルは、すべてのサプライヤーから1次データを収集することを求めているわけではない。
特に多くの企業で排出量が最も大きくなるカテゴリ1(購入した製品・サービス)には、多数のサプライヤーが存在する。そのすべてから排出量データを収集しようとすると、多大な時間とコストが必要となり、現実的ではない。
そのため、まずは排出原単位などの2次データを用いて排出量を概算し、影響の大きいサプライヤーから段階的に1次データへ切り替えていくことが推奨されている。サプライヤーの優先順位を検討する際には、次のような観点が参考になる。
(観点例)
排出量の大きさ:まずは2次データを用いてScope3全体やカテゴリごとの排出量を概算し、排出量への寄与が大きいサプライヤーを優先する。
支出額の大きさ:調達金額の大きいサプライヤーも優先候補となる。例えば、支出額の大きい順に並べ、全体の支出額の約80%を占めるサプライヤーを対象とするなどの考え方が示されている。
自社の影響力:自社が主要顧客となっているサプライヤーや委託製造先など、自社からの要請が通りやすい企業から開始することも有効である。
ステークホルダーからの要請・事業リスク: 顧客から排出量データの提供を求められている製品・サービスや、規制対応、供給リスクの観点から重要なサプライヤーについては、優先的にデータ収集を進めることが望ましい。
なお、1次データを収集しないサプライヤーや、データ提供を受けられなかったサプライヤーについては、従来どおり排出原単位データベースなど、2次データを利用して算定することができる。1次データと2次データを組み合わせてScope3を算定することは問題ない。
実務では、まず主要サプライヤーから1次データの収集を開始し、徐々に対象を拡大していく段階的なアプローチが現実的であろう。
以下では、サプライヤーに依頼すべきデータの種類と、業種ごとのデータ収集・算定上の特徴について解説する。
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続きでは、製品ベースのデータが入手できない場合の対応や、そもそも1次データを取得できなかった場合の対応ポイントについて紹介している。自社のScope3のデータ収集の対応状況の確認や課題解決にぜひご活用ください。
・「製品ベース排出量データ」と「組織ベース排出量データ」に関する考え方
・業種別に見るデータ収集・算定の対応ポイント(製造業、化学、物流、食品、小売、素材・資源)
・サプライヤーからデータを取得できない場合の対応ステップ
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<執筆者>

竹内愛子
国際関係学に関する修士号を取得。総合コンサルティングファームにて、システムおよび戦略コンサルティングに従事した後、Big4ファームのアドバイザリー部門にて、ガバナンス・リスクマネジメントや統合報告に関する企業向け支援に携わる。
2022年より ESG Journal にて、サステナビリティ経営の観点から、情報開示実務やそれを支えるシステム活用をテーマに、オリジナル解説およびホワイトペーパーの執筆を行っている。

