フロリダ州、約31兆円の州年金基金へのESG投資を禁止

フロリダ州、約31兆円の州年金基金へのESG投資を禁止

8月23日、フロリダ州は2,280億ドル(約31兆円)の州年金基金へのESG投資を禁止した。2,280億ドル規模の年金基金のファンドマネージャーは、Ron DeSantis知事の政権下で可決された新しい決議により、投資プロセスにESGの配慮を取り入れることが認められなくなった。

新決議では、投資判断は「金銭的要因」、つまり投資リスクとリターンに重大な影響を与えると予想される要因のみに基づいて行わなければならないとし、これらの要因に “社会的・政治的・思想的利益の促進” が含まれてはならないと定めている。本決議はまた、委任状による議決権行使において、これらの「非利益的要素」を考慮することを禁止している。

本決議の文言は、ERISAプランにおけるESG投資の制限を意図したトランプ時代の労働省規則で使われた文言と類似している。労働省は当時、同規則の主な目的はプランの受託者が財務的目標を重視し、非財務的配慮がパフォーマンスを犠牲にしないようにすることだと述べていた。しかし、多くの投資家や関係者は、同規則は実際には逆の効果をもたらし、結局は投資家の財務的利益を損ない、不必要なリスクにさらされる可能性があると指摘していた。

現在のバイデン政権の下、労働省はこれらの規則を撤廃し、ESG投資の障壁を取り除く方向に動いている。これに対して、フロリダ州の決議では、「バイデン政権はESG要素を用いた投資を奨励する意向を明らかにした」ことを反ESG規則を支持する検討材料として挙げている。

この動きは、共和党寄りのいくつかの州の政治家による反ESG推進の一環をなすものだ。今週はテキサス州が強力なESG認証とネット・ゼロ投資およびその支持を理由に、 BlackRock、Credit Suisse、UBSなど、資産売却の対象となるファンドマネージャーのリストを発表した。

【関連記事】
テキサス州、BlackRock、Credit Suisse、UBSを、反ESGの反動で化石燃料企業を「ボイコット」したとして投資制限リストに掲載

【参照ページ】
(原文)Governor Ron DeSantis Eliminates ESG Considerations from State Pension Investments
(日本語訳)フロリダ州、約31兆円の州年金基金へのESG投資を禁止

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-16

    SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか

    2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案…
  2. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  3. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…

ピックアップ記事

  1. アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    2024-4-25

    アップルのサプライチェーンの95%、2030年までに100%再生可能エネルギー使用を約束

    4月17日、アップルは、バリューチェーンの脱炭素化という目標に向けて大きく前進していることを発表し…
  2. 2024-4-24

    ダウとP&G、プラスチック・リサイクル技術の共同開発契約を締結

    3月25日、 米国の化学世界大手であるダウと消費財業界大手のP&Gは、プラスチック・リサ…
  3. 2024-4-24

    住商グループとパートナー企業、太陽光発電パネルの再利用・リサイクル実証実験に着手

    3月28日、住友商事、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、SMFLみらいパートナーズ…

ページ上部へ戻る