4月15日、国際人権NGOであるHuman Rights Nowは、指導原則の趣旨の実現に向けた取り組みの早急な実施を求めるため、人権デューディリジェンスの法制化に向けた提言書を公表した。
本提言書の中では、企業に対して、サプライチェーン、バリューチェーン全体に対するデューディリジェンスの実施の義務化と、潜在的・顕在化した人権リスクのいずれも探知できるよう事業レベルでグリーバンスメカニズムの構築、救済の提供を求めた。また、対象とする人権課題は強制労働などに限定せず、全ての人権課題を対象とする。
対象企業の規模については、「まずは大企業を対象として法的義務を課し、今後の法改正により法的義務の対象範囲を広げる余地を残しつつも、法制化時においては中小企業については努力義務規定を導入すること」とした。
執行とモニタニングでは、責任ある執行・監督体制を確立することと、開示義務に反した違反企業に罰金を科すことが示された。また、企業の民事責任については、人権DDを怠った企業に対する民事司法救済について明記すること、人権DDの単なる情報開示だけで民事責任が免責されないことを明確にすることが求められている。
政府は自ら、人権DDを実施し、公共調達から人権リスクを除外し、人権DDを実施しない企業を公共調達の対象企業から除外することが求められた。
企業による積極的な人権DDの実施に加えて、人権リスクに由来する製品を市場から排除することが指導原則の実現において必要な取り組みであり、現行の関税法を指導原則に照らして改正すべきとした。