IFRS財団、国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)の正式発足を発表

 

CDSB(クライメート・ディスクロージャー基準委員会)とVRF(バリューレポーティング財団)がIFRSに統合

国際サステナビリティ基準委員会(International Sustainability Standards Board: ISSB)は、国際財務報告基準財団(International Financial Reporting Standards Foundation: IFRS)により、COP26において正式に発足した。

ISSB設立の動きは、2020年10月に国際財務報告基準財団(IFRS)が協議プロセスを開始し、グローバルなサステナビリティ報告基準委員会の形成の可能性と、そのプロセスにおける財団自身の位置づけについて意見を求めたことに端を発する。諮問文書に対する好意的な反応を受けて、IFRSは、提案された準備作業を行うための技術準備ワーキンググループを立ち上げ、新しいISSBの形成において取るべき戦略的方向性についての見解を発表した。この見解では、投資家、貸し手、その他の債権者の意思決定に重要な情報に焦点を当て、気候関連の問題から始まり、その他のESG事項にまで拡大していく。

新しいISSBは、国際会計基準審議会(IASB)と並んで設置され、両審議会はIFRS財団のトラスティーによって監督される。IFRS財団は、両理事会が独立した立場で、投資家やその他の資本提供者に包括的な情報を提供するための補完的な基準を確立するために、緊密に協力していくことを表明している。

ISSBの設立に伴い、IFRS財団評議員会議長のエルッキ・リーカネンは、主要なサステナビリティ報告基準機関であるクライメート・ディスクロージャー基準委員会(CDSB)と、国際統合報告評議会(IIRC)とサステナビリティ会計基準委員会(SASB)が合併して最近設立されたバリュー・レポーティング財団が、2022年6月までにIFRS財団に統合されることも発表した。

またCDSB・TCFD・IASB・VRFの代表者で構成されるワーキンググループが発足し、TCFDの推奨事項に基づく気候関連の開示に特化したプロトタイプ文書と、一般的な持続可能性の開示を定めたプロトタイプ文書の発行を発表した。

気候関連プロトタイプ

一般的な情報開示プロトタイプ

サステナビリティに関心のある団体、投資家、専門サービス会社や会計事務所は、今回の新しい情報開示の発表を歓迎した。KPMGのグローバル会長兼CEOであるビル・トーマスは、今回の発表を「サステナビリティに関する情報開示基準の分水嶺」と称している。

【参照ページ】
(原文)IFRS Foundation announces International Sustainability Standards Board, consolidation with CDSB and VRF, and publication of prototype disclosure requirements
(日本語訳)IFRS財団、国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)の正式発足を発表

関連記事

“ランキングのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    2025-4-1

    ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のオムニバス草案が提出され、欧州の開示規則が変わる中、20…
  2. ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    2025-3-31

    ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-3-27

    【GPIF発表】「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」選定結果

    3月11日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る