航空業界の脱炭素化へ政策支援拡充を提言 国連関連報告書、SAF普及や次世代機開発の加速求める

6月、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)は航空業界の脱炭素化を促進するための政策提言レポートを公表した。報告書は、航空分野の温室効果ガス削減には銀行や金融機関による投資が重要である一方、民間資金だけでは十分ではなく、各国政府による長期的かつ一貫した政策支援が不可欠だと指摘している。

航空業界は世界の人為起源二酸化炭素(CO₂)排出量の約2.5%を占めるとされる。一方で、長距離輸送に必要な高エネルギー密度の燃料への依存度が高く、商業的に利用可能な低炭素技術が限られていることから、脱炭素化が難しい産業の一つと位置付けられている。

国際民間航空機関(ICAO)は2022年、国際航空分野について2050年までにCO₂排出量を実質ゼロとする長期目標を採択した。しかし報告書によると、現在の技術革新や燃費改善のペースでは目標達成は容易ではなく、追加的な政策措置が求められている。

また、航空会社による次世代機への更新を促進するため、税制優遇措置や長期的な燃費基準の整備も必要だとした。さらに、航空交通管理の高度化や飛行経路の最適化により、比較的短期間で排出削減効果が期待できるとの見方を示している。

長期的な視点では、水素航空機や電動航空機といったゼロエミッション航空機の実用化が重要になると分析した。報告書は、研究開発への公的資金投入や大規模な実証実験、国際的な研究協力を通じて技術開発を加速させる必要があると指摘している。

一方で、こうした技術や設備への投資には多額の資金が必要であり、技術的な不確実性や市場需要の見通しの不透明さが投資の障壁となっている。報告書は、政策の予見可能性向上や官民によるリスク分担の仕組みが整備されなければ、十分な資金流入は期待できないとしている。

航空業界では近年、持続可能な航空燃料の導入や次世代航空機の開発が進められているが、需要拡大に伴い排出量は依然として増加傾向にある。報告書は、2050年のネットゼロ実現に向けては、技術革新に加え、金融・政策両面からの包括的な支援が必要になるとの認識を示している。

原文:Supporting policy engagement for banks: Aviation


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