アマゾン、インド稲作のメタン削減クレジットを長期調達 小規模農家1万3000人超を支援

4月22日、ザ・グッド・ライス・アライアンスは、インドの小規模稲作農家によるメタン排出削減から生み出されるカーボンクレジットについて、アマゾンと長期のオフテイク契約を締結したと発表した。対象となるのは、初期クレジット期間において68万5000トン超の二酸化炭素換算クレジットで、アマゾンはこの取り組みにおける主要な買い手となる。

水田を継続的に冠水させる従来の稲作は、世界のメタン排出の8~10%を占めるとされ、農業分野では畜産に次ぐ大きな排出源とみなされている。とりわけインドは世界でも有数のメタン排出国であり、世界最大の稲作面積を抱え、1億人以上の生計を支えていることから、稲作由来の排出削減は気候対策と農業支援の両面で重要性が高いとされる。

ザ・グッド・ライス・アライアンスは、インド国内の複数州で1万3000人超の小規模農家と連携し、3万5000ヘクタール超の農地でプログラムを展開している。取り組みでは、間断かんがいを行う「AWD(代替湿潤乾燥)」や「DSR(直播栽培)」といった水管理手法の導入を通じて、水田からのメタン排出削減を目指す。これに加え、農家に対する栽培指導や現場支援、経済的インセンティブも提供し、収量改善や投入コストの削減、気候変動への耐性向上にもつなげる考えだ。

同団体は、排出削減量の算定にあたり、科学的な測定・報告・検証体制を重視している。国際稲研究所と連携した水田での直接測定に加え、デジタル監視ツールや第三者検証を組み合わせ、ベラの認証制度に基づく手法を用いて高い信頼性を持つクレジット創出を進めるとしている。現場で取得したデータは、衛星を活用した土壌水分や水管理の記録とも照合され、各クレジットの裏付けを多面的に確保する仕組みだという。

アマゾンは今回の契約について、農業分野でのメタン削減は気候変動対策において重要な機会であり、監査可能な現場データや実践変更の記録に基づく高品質なカーボンクレジットを支援する姿勢を示した。ザ・グッド・ライス・アライアンス側も、実証可能な気候効果と農家への利益の両立を重視しているとしている。

また、この取り組みはメタン排出の削減だけでなく、灌漑用水の使用量を通常で最大30%程度減らす効果も見込まれている。水利用の効率化は、気候変動による水ストレスが高まる地域において、農業の持続可能性を高める要素として注目される。

ザ・グッド・ライス・アライアンスはバイエル傘下の企業で、これまでバイエル、ジェンゼロ、シェル・ネイチャー・ベースド・ソリューションズによる実証研究やパイロット事業を土台に事業化が進められてきた。今回の発表は、農業由来メタン削減の取り組みが、企業によるカーボンクレジット調達を通じて大規模展開の段階に入りつつあることを示す事例の一つといえそうだ。

原文:Amazon to offtake methane-reducing carbon credits generated by smallholder rice farmers in India under The Good Rice Alliance


🔓会員登録で実務解説・実践ガイド

ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!国際的な動向からも気候変動への対応や開示の高度化が進んでいます。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。

🌍気候変動開示への対応に関連する実務解説はこちら>>>

READ MORE
READ MORE
READ MORE

すでに登録済みの方はログイン

関連記事一覧