ISSB、自然関連の開示の「基準化」を議論――非強制ガイダンス案を提示

ISSB、ネイチャー開示は「非強制ガイダンス」から着手へ――基準化を見据えた段階的アプローチ
4月21日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、ボードミーティング用の資料を公開し、自然関連の開示の制度設計に関する方向性を示した。当該会議の文書(AP3D)では、開示を義務化とするかしないかなど、4つの案が示されており、スタッフは「Standard(新たな強制基準)」ではなく、「IFRS Practice Statement(非強制的なガイダンス)」として提示することを推奨した。本ペーパーはISSBの最終決定ではなく、スタッフからの提案であるものの、今後の制度設計の方向性として今後も注視が必要ではあるが、既存の開示においていかに自然関連の開示を加えていくかが実務上の課題となるだろう。
今回のAP3Dでは、自然関連の開示の標準化にあたり、以下の4つのアプローチが比較検討されている。
- IFRS S1に含める: IFRS S1(全般的要求事項)の一部を修正するか、新しい付録(適用ガイダンスなど)として追加する
- IFRS S2に含める: IFRS S2(気候関連開示)の一部を修正するか、新しい付録として追加する
- 新しい独立したISSB基準の策定 :IFRS S1やIFRS S2には含まれない独自の要件を持つ、自然に関する新たな独立基準
- IFRS実務記述書(Practice Statement)に含める :強制力を持たない(任意適用の)実務記述書の中に、自然関連のリスクと機会に関する開示要件とガイダンスを含める
このうちスタッフは、Practice Statement(非強制的ガイダンス)形式を採用する案を推奨している。現在、IFRS S1(全般開示)およびS2(気候開示)の適用が開始されている中、もし新たな強制基準を追加すれば、実務負担の増大や制度の不安定化を招く可能性があるだろう。そのため、ISSBは「安定した準拠・遵守の維持」と「追加的な情報ニーズへの対応(投資家ニーズ)」のバランスを重視したと考えられる。
ISSBでは、2026年1月にネイチャー関連開示を正式な標準設定プロジェクトへ移行しており、9月にはTNFDとの統合を控えている。また、自然関連の開示においては、生物多様性や水資源といった個別テーマに限定されるものではなく、「企業の将来キャッシュフローや資本コストに影響を与え得るすべてのネイチャー関連リスク・機会」を開示することが求められている。
自然関連の開示は、非強制のガイダンス(Practice Statement)の可能性も出てきたが、将来的な基準化を見据えた「準標準的な位置づけ」となる可能性もある。今回の議論ま、IFRS S1およびS2を前提とし、それらを補完する形で設計されることも明確にされてきた。また、「自然」は気候と並ぶ独立領域というよりも、「既存の財務的サステナビリティ開示の拡張領域」として扱われる構造であることには違いないためである。
今後、企業は自然(ネイチャーポジティブなど)対応を新たな個別テーマとして切り出すのではなく、既存のTCFD/IFRS S2など気候関連の対応(戦略・リスク管理・指標)との関係の中で整理し開示することが期待されているだろう。
今後、ISSBは2026年前半に主要論点の審議を完了し、2026年10月に公開草案(Exposure Draft)を公表することを目標としている。
原文:International Sustainability Standards Board
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