DHLとIAGカーゴ、SAF調達で複数年契約を拡大

4月14日、DHLグループは国際航空グループ(IAG)の貨物部門であるIAGカーゴとの持続可能な航空燃料(SAF)を巡る協業を拡大すると発表した。新たに締結した5年間の契約と、2025年に更新済みの契約を合わせ、ロンドン・ヒースロー空港で約2億4,000万リットルのSAFを使用する見通しで、ブリティッシュ・エアウェイズ便で輸送されるDHLエクスプレス貨物のライフサイクルベースの温室効果ガス排出量削減につなげる。

今回の契約は2030年までを対象とし、DHLエクスプレスは年間約4,000万リットルのニートSAFに相当するスコープ3排出削減効果を受ける。2025年の契約更新分も含めると、ライフサイクルベースで約64万トンの二酸化炭素換算(CO2e)の排出削減が見込まれるという。これは現在IAGカーゴのネットワーク内で輸送されるDHLエクスプレス貨物に割り当てられている燃料のほぼ全量をカバーする規模としている。

使用されるSAFは、国際持続可能性カーボン認証(ISCC)の認証を受けており、使用済み食用油などを原料とする。発表によると、従来の化石由来ジェット燃料と比べ、ライフサイクルベースで約90%の温室効果ガス排出削減効果があるという。

さらに、DHLグローバル・フォワーディングとIAGカーゴの間でも枠組み契約を締結し、グループ横断で持続可能燃料への安定的かつ多様なアクセスを確保する戦略を強化する。この枠組みが拡大した場合、DHLグループ全体でのライフサイクルベースの排出削減量は100万トンのCO2eを超える可能性があるとしている。

航空輸送分野では、輸送に伴う排出量削減に対する顧客需要が高まっており、安定的で予見可能なSAF調達体制の構築が重要性を増している。今回の提携強化は、DHLエクスプレスとDHLグローバル・フォワーディングの双方において、排出量の少ない物流サービスを継続的に提供する基盤づくりの一環と位置づけられる。

DHLは、2030年までに航空輸送で使用する燃料に占めるSAFの比率を30%まで高める目標を掲げている。今回のような長期契約は、低排出の航空輸送サービスを継続的に提供するうえでの基盤整備につながるとみられる。

一方で、SAFは航空分野の排出削減策の一つとして期待されるものの、生産拡大や供給体制の整備にはなお課題が残る。現状では化石由来ジェット燃料に比べて価格が3~4倍程度高く、商業航空で使用される燃料全体に占める割合もごく小さい。欧州連合(EU)はReFuelEU Aviation規則を通じて、域内空港で供給される航空燃料に占めるSAF混合比率の引き上げを段階的に義務付けている。

原文:DHL and IAG Cargo deepen collaboration with major multi‑year Sustainable Aviation Fuel (SAF) agreements


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