12月2日、フロリダ州の最高財務責任者Jimmy Patronisが発表した声明によると、フロリダ州はBlackRockが運用する20億ドル(約2,690億円)の資産を年内に売却する予定であることが明らかになった。
BlackRockのESGへの支持を「社会工学プロジェクト」と呼ぶPatronisは、「リターンの最大化とは何の関係もなく、資産運用会社が行うべきこととは正反対だ」と述べている。
今回の発表は、フロリダ州のRonald Dion DeSantis知事が、同州の2,280億ドル(約30.6兆円)の年金基金のファンドマネージャーによるESGの考慮を認めないという決議案を可決するなど、米国の共和党政治家による反ESGの推進が続いている中での最新の動きとなる。
BlackRockは、世界最大の投資運用会社であり、気候変動やエネルギー転換関連の投資テーマについて投資界をリードする存在として、これらの取り組みの多くで中心的な役割を果たしている。最近では、ルイジアナ州が州の財務省資金を「ESGから守る」ためにBlackRockのファンドから約8億ドル(約1,088億円)を引き揚げる計画を発表し、ミズーリ州もBlackRockの「目覚めた政治意図」を理由に5億ドル(約672億円)の年金資産を引き揚げるなど、多くの動きが見られる。
8月には、19人の検事総長が、BlackRockが反化石燃料とネット・ゼロのアジェンダを追求し、財務的リターンと一致しない「社会的目的」に従って行動しているとして、「複雑な動機」で非難する書簡に署名している。
9月、BlackRockはこれらの主張に対し、渉外部長のDalia Blassが、同社について提起された「誤解」と、ESGイニシアティブに参加する投資家の動機に関する「いくつかの不正確な記述」に反論した。書簡では、BlackRockの気候変動への取り組みは、「顧客の投資に影響を与える可能性のある世界経済の短期および長期のトレンドを特定する」という受託者責任に完全に合致しており、その取り組みが、企業に開示の改善を求めることに主眼を置いており、排出量目標の指示やロビー活動には及ばないことが強調されている。
本声明で、BlackRockは、フロリダ州の最近の反ESGの動きは最終的に同州民を苦しめることになると述べ、「質の高い投資へのアクセスを犠牲にし、リターンを危うくする政治的イニシアティブの傾向を憂慮しています」と付け加えた。
今回の売却に含まれる同州の資産には、社債、資産担保証券、地方債などを含むフロリダ州長期投資ポートフォリオ14億3,000万ドル(約1,923億円)と、BlackRockが独占的に運用していた同州財務省の短期投資ファンド6億ドル(約807億円)が含まれている。
【参照ページ】
(原文)CFO JIMMY PATRONIS: FLORIDA TREASURY DIVESTING FROM BLACKROCK
(日本語訳)CFOジミー・パトロニス:フロリダ州の国庫がブラックロックから売却