
4月15日、国際環境NGOマーケット・フォース、FoE Japan、気候ネットワーク、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)の4団体とその関係者を含む個人株主が、気候変動対策の強化を求め、日本の金融・総合商社・電力業界の大手7社に対し株主提案を提出した。対象企業は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ、三菱商事、三井物産、住友商事、中部電力の計7社。
提案は、取締役会や監査委員会による気候関連リスクの監督機能とその情報開示を求めるもので、企業価値向上とガバナンスの強化を狙いとする。当初は法的拘束力のない勧告的決議として提出されたが、すべての企業が株主総会での議案採用を拒否したため、定款変更を伴う法的拘束力のある提案へと方針を転換した。
マーケット・フォースは、メガバンクのネットゼロへの取り組みが不十分であり、リスク管理体制の透明化が急務であると指摘。FoE Japanは、総合商社が高炭素事業や人権問題を抱える事業に投資を継続している点を問題視し、対応策とそのプロセスの開示を要求している。気候ネットワークは、中部電力とJERAの水素・アンモニア依存による供給不安やコスト高への懸念を表明し、移行計画の具体化と気候リスクの開示を求めた。RANは、メガバンクが「赤道原則」順守を掲げつつも実際には環境・人権リスクの高いプロジェクトに資金提供を続けていると非難し、監査機能の実効性に疑問を呈した。
提案団体は、英国のコーポレート・ガバナンス・コードを引き合いに出し、株主の反対票が一定以上あった場合に企業が説明責任を果たすべきと主張。気候危機の影響が顕在化する中で企業の対応が不十分であることに対し、透明性と責任ある経営を求めている。今回の提案を通じて、より多くの株主とステークホルダーが企業のリスク管理体制の実態に目を向ける契機となることが期待される。