経産省と東証、SX銘柄を創設

2月10日、経済産業省と東京証券取引所(東証)は、投資家等との建設的な対話を通じて、社会のサステナビリティ課題やニーズを自社の成長に取り込み、必要な経営改革・事業変革によって長期的かつ持続的な企業価値創造を進めている先進的企業を「サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄(SX銘柄)」として選定・表彰し、変革が進む日本企業への再評価と市場における新たな期待形成を促す事業を開始することを発表した。

日本企業の資本効率性や長期成長に向けた投資は伸び悩み、TOPIX500を構成する企業の4割以上が「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」という状況である中、伊藤レポート(2014年公表)以来の課題である「稼ぐ力」や長期的な企業価値の向上が求められている。

加えて、気候変動や地政学的リスクといったサステナビリティ課題が一層複雑化する中、企業活動の持続性に大きな影響を及ぼし、長期的かつ持続的な価値創造に向けた企業経営が一段と難しい状況にある。

こうした中、経済産業省では、「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」での議論を引き継ぐ形で、2021年5月に企業、投資家、有識者から成る研究会(SX研究会)を立ち上げ、東証もオブザーバーとして参加しつつ、長期的かつ持続的な企業価値の向上に向けた議論を行った。その議論の成果を2022年8月に「SX版伊藤レポート(伊藤レポート3.0)」及び「価値協創ガイダンス2.0」として取りまとめ、公表した。

本レポートでは、長期的かつ持続的な企業価値向上のためには、SXをキーワードとする経営変革こそが、今後の経営に必要不可欠とのメッセージを発信した。

今後、多くの日本企業がSXの視点による事業再編や新規投資を通じて価値創造を進めるためには、その実現に向けた取組を投資家等も含めたインベストメントチェーン全体で推進していくことが重要となる。

SX銘柄の公表を通じて、企業経営者の意識変革を促し、投資家との対話・エンゲージメントを通じた経営変革を期待し、その上で、国内外投資家に対して、こうした日本企業が向かう変革の方向性を知らしめることにより、今後の日本株全体への再評価と新たな期待形成につなげていく。

近日中に発足予定の「SX銘柄評価委員会」において、SX銘柄の審査基準などの詳細を策定の後、本年7月頃から、「SX銘柄2024」の公募を開始し、2024年春頃に選定結果の公表を行う予定としている。その後、国内外に向けたSX銘柄の大々的なアピールを検討している。

【参照ページ】
(原文)「SX銘柄」を創設します~長期的かつ持続的な企業価値創造を進める先進的企業を選定・表彰する事業を開始します~

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