11月15日、エネルギー大手のシェルは本社をハーグから英国に移転する計画を発表した。これは、ネット・ゼロ・エミッション事業への移行戦略の実現を加速させるための大規模な簡素化施策の一環だ。シェル社は、投資家や活動家からクリーンエネルギーへの移行に向けてより積極的な行動をとるようにとの圧力が高まる中、エネルギー移行戦略の実施に着手した。
本日発表された変更点としては、2005年から実施してきたA/B株制度の廃止、法人設立国に
合わせてオランダの税務上の居住地を英国に変更、1907年からの社名であるロイヤル・ダッチ・シェルからシェル ピーエルシーへの社名変更などがある。
シェル社の会長であるアンドリュー・マッケンジーは次のように述べている。
「業界がかつてないほどの変化を遂げている今、低炭素の世界的なエネルギーシステムへの移行を加速させるための能力を高めることがより重要になっています。よりシンプルな構造にすることで、シェルはPowering Progress戦略の実現を加速させるとともに、株主、顧客、そしてより広い社会のために価値を創造することができます。」
今回の動きは、投資家、政府、規制当局を含む複数の機関から、化石燃料を使用するエネルギー部門に対する圧力が高まっていることを示す一連の出来事の中で最も新しいものだ。先月シェルは、アクティビスト投資家であるダニエル・ローブ氏のヘッジファンド、サード・ポイントLLCから、新興事業における排出削減技術やクリーンエネルギーへの投資と、レガシー事業におけるキャッシュフローの最適化に焦点を当てるために、いくつかの独立した事業に分割することを求める書簡を受け取った。
シェルは、他のエネルギーメジャーよりもエネルギー転換に積極的に取り組んでおり、今年初めには「Powering Progress」戦略を発表した。この戦略では、2050年までにスコープ1、2、3の排出量をネット・ゼロにするという目標を達成するために、短期および中間目標の設定、再生可能エネルギーやクリーンエネルギーのソリューションへの投資などについて詳しく説明している。しかし、計画を発表してから数ヵ月後、同社は法廷闘争に敗れ、オランダの裁判所は、同社が2030年までに排出量を45%削減しなければならないという判決を下した。
マッケンジーは、今回の動きがオランダの裁判所の判決に影響を与えることはないと述べている。シェルはこの判決を不服としているが、同社は最近、裁判所が命じたものよりも積極的な絶対的排出削減目標を導入した。
【参照ページ】
(原文)Notice of General Meeting – Shell seeks Shareholder approval to change articles to implement a simplified structure
(日本語訳)シェル、エネルギー移行戦略の一環として英国に移転