EU、CBAMの対象を下流製品へ拡大へ 加盟国が合意、機械・家電・金属製品にも波及の可能性

6月12日、EU理事会は、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の対象範囲を下流製品(downstream products)へ拡大する改正案について理事会としての共通方針(General Approach)に合意した。今後、欧州議会との三者協議(トリローグ)を経て最終法制化が進められる見通しである。
今回の合意は、2025年12月に欧州委員会が公表したCBAM改正案(COM(2025)989)をベースとするもので、鉄鋼・アルミニウムなどの基礎素材だけでなく、それらを多く含む下流製品にも炭素コストを課すことを目的としている。欧州委員会は、現行では企業が鉄鋼やアルミを加工した完成品としてEUへ輸出することでCBAMを回避できるリスクがあると指摘していた。このためEUは、炭素リーケージ(生産移転による排出量の域外流出)や制度回避を防ぐため、下流製品まで対象を広げる方針を打ち出していた。
対象品目は拡大の方向
欧州委員会は2025年12月に公表した改正案において、鉄鋼・アルミニウムを含む下流製品(CNコード:第72類の鉄鋼製品、第73類の鉄鋼の二次製品、第84類の機械類など)を新たに対象に追加することを提案していた。理事会によれば、今後も対象品目の見直しを継続していくとのことだ。
制度回避対策も強化
今回の改正案には対象範囲拡大だけでなく、制度回避防止策として以下の取り組みも示されている。
- プレコンシューマースクラップ(金属加工時の端材)の一部を対象化
- 高リスク企業の報告内容に対する監視強化
- 制度回避が確認された場合の欧州委員会権限強化
EU域外企業への影響
今回の合意により、CBAMが「素材規制」から「バリューチェーン規制」へ発展しつつあることを示していると言える。これまでCBAM対応を鉄鋼メーカーやアルミメーカー中心の課題と捉えていたが、機械、自動車部品、設備機器メーカーなども、自社製品に含まれる素材由来排出量の把握やサプライチェーンデータ管理の重要性が高まる可能性がある。
今後のスケジュール
2026年9月以降に欧州議会で審議される予定であり、トリローグを経て最終法制化へ進むものと考えられる。対象製品や適用時期は今後の欧州議会との交渉によって変更される可能性があるものの、サプライチェーンマネジメントの重要性がさらに高まるだろう。なお、欧州委員会は今回の理事会合意を歓迎しており、CBAMをEUの産業競争力強化と脱炭素投資促進の中核政策として位置付けている。
原文:Council moves to strengthen the EU’s carbon border adjustment mechanism
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