GHGプロトコル「スコープ3改訂」の進捗を報告 新規カテゴリー追加の検討も

3月、GHGプロトコルは、スコープ3の見直しに関する方向性を示した報告書を公表した。GHGプロトコルでは、2024年以降、企業向け基準の大規模改訂を進めており、なかでもスコープ3基準の見直しが注目されている。今回公表されたフェーズ1進捗報告はドラフト段階ながら、今後の制度の方向性を示す重要な材料になっている。
今回の改訂の本質は、「透明性」と「整合性」の強化にある。今後はデータの中身や境界設定まで含めて、比較可能性を高める方向に進むことが想定されている。
データ品質の重要性が向上ー“精度の見える化”へ
注目すべき変更点の一つは、排出量をデータ種類別に分解して開示する仕組みだ。一次データか推計かといった違いを明示することが求められている。さらに、スコープ3排出量について、第三者の保証(認証)を受けている場合「検証済み」「一部検証」もしくは受けていない場合「未検証」として保証状況の開示が求められる方向だ。なお、未検証の場合は開示は必須ではない。数値の信頼性を外部から評価可能にする狙いがある。
これは「正確に算定する」だけでなく、「どの程度信頼できるかを説明する」ことが求められることを意味する。
95%ルールの導入およびカテゴリー16の
もう一つの変更が、排出範囲の厳格化だ。企業はスコープ3排出量(必須)の95%以上をカバーし、除外は最大5%までに制限されるというもの。スコープ3排出量の(必須)とは、「自社が影響を及ぼしている主要な排出源」として最低限カバーしなければならない中核的な算定対象のことである。また、算定対象として除外する場合も、全体排出量を把握したうえで、その妥当性を説明する必要が求められている。
さらに、新たに「カテゴリー16」が検討されており、ライセンス供与や仲介など、自社が直接排出しないが影響を与える活動が対象となる。これは「所有」から「影響」へと排出の捉え方が拡張されることを意味する。
スコープ3を「算定の問題」から「説明責任の問題」へと変える
今後は、データの質(一次か推計か)の明確化、排出の網羅性(95%カバー)の担保、投資やビジネスモデルを含めた影響範囲の把握が不可欠となる。
現時点、スコープ3の改定はドラフト段階だが、方向性は明確とも言える。企業にとっては、サプライチェーンデータの収集や算定プロセスの見直しを、早期に進めることが求められるだろう。
原文:Greenhouse Gas Protocol Scope 3 Standard Revisions Phase 1 Progress Update March 2026
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