GRI、開示基準を刷新へ 企業に「汚染の可視化」を求める 

3月、サステナビリティ報告の国際基準を策定するGRI(グローバル・レポーティング・イニシアチブ)は、企業による汚染の影響と管理に関する情報開示を強化するため、新たな基準案を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。世界的に大気汚染が悪化する中、これまで不十分だった汚染報告の透明性を高め、投資家や地域社会への説明責任を厳格化する狙いがある。

現在、多くの企業にとって汚染は深刻な課題であるにもかかわらず、その報告は断片的で、企業間での比較も困難な状況にある。GRIが実施した調査では、排出量の多い業種においても汚染に関する定量的なデータが不足している実態が明らかになった。世界保健機関(WHO)の指針を超える微粒子汚染にさらされている国が世界で9割を超える中、企業活動が人体や生態系に与える影響を正確に把握する必要性が高まっている。

今回の提案の柱は、大きく分けて三つある。第一に、土壌汚染に関する初の「GRIトピック基準」を導入すること。第二に、大気汚染に関する開示項目の拡充だ。第三に、既存の廃水・廃棄物に関する基準(GRI 306)を大幅に改定し、汚染に関連するか否かを問わず、重大なインシデントに対する緊急対応や予防策の報告を求める。

GRI基準ディレクターのハロルド・パウェルズ氏は「汚染は単一の排出源にとどまらず、人々の健康や生物多様性にまで広く影響を及ぼす。今回の改定では、より広い範囲での透明性が求められる」と指摘。その上で、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」やOECDの多国籍企業行動指針と整合性を図り、欧州のサステナビリティ報告基準(ESRS)との相互運用性も確保する方針を示した。

この開示基準案は、2024年に独立したマルチステークホルダー作業部会が検討を開始したもの。騒音や悪臭といった他の未開示項目についても、将来的に対象範囲を拡大する計画だ。今後、6月8日まで世界中のステークホルダーから意見を募集し、2027年の正式発行を目指す。

GRIは4月中旬に基準の内容を解説するグローバル・ウェビナーを開催し、5月には大気汚染に特化したセッションも予定している。企業の経営姿勢に対する視線が厳しくなるなか、今後は「汚染を出さない」というだけでなく、「自社の排出する汚染の実態をどれだけ詳細に可視化し、管理しているか」が、企業の評価を左右する重要な指標となりそうだ。

原文:Clearing the air on pollution reporting
日本語参考訳:汚染報道に関する誤解を解く


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