InnoEnergy、2030年までに最大26兆円のクリーンテック投資を動員へ

3月25日、クリーンテック分野のインパクト投資家InnoEnergyは、2030年までに最大1,600億ユーロ(約25兆6,000億円)の投資を動員する新たな成長戦略とブランド刷新を発表した。この金額は、2025年から2030年にかけてInnoEnergyのポートフォリオに必要とされる総資金を示しており、欧州の競争力と経済成長を後押しするクリーン産業の力強い成長パイプラインの存在を裏付ける。

本戦略は、欧州連合の「クリーン・インダストリアル・ディール」に示されている通り、2040年の気候目標とそれに伴う規制の確定を踏まえ、長期的な投資の確実性を提供するものだ。InnoEnergyのCEOディエゴ・パビアは、「エネルギー転換と産業変革は決して容易な道ではない。だが欧州には、単一市場、強固な産業基盤、そして安定した規制枠組みが揃っている」と述べ、クリーン技術の産業化に本腰を入れる姿勢を示した。

InnoEnergyは今後、資本調達を強化し、新たなファンドの共同設立に取り組む。また、バッテリー、太陽光、グリーン水素といった既存分野での実績を基盤に、次なる戦略的サプライチェーンの構築を進める方針だ。これにより、エクイティ、債券、助成金、プロジェクトファイナンスを含む包括的な資金手段で1,600億ユーロの投資を呼び込むことを目指す。

この成長戦略は、過去15年にわたる実績に基づく。InnoEnergyは500以上のスタートアップを支援し、バッテリー、グリーンスチール、肥料などの分野で複数の産業リーダーを生み出してきた。また、欧州バッテリー連合(EBA)やサンタンデール・イノエナジー・気候ファンドの設立など、産業構造を形作る取り組みにも深く関与してきた。革新的技術を社会実装する体制を強化し、欧州におけるクリーンテック成長の中核として今後も役割を果たしていく考えだ。

(原文)INNOENERGY TO MOBILISE UP TO €160BN IN CLEAN TECH INVESTMENT BY 2030

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