ISS、米国企業の取締役選任におけるダイバーシティ考慮を無期限停止

2月11日、米国の議決権行使助言会社であるInstitutional Shareholder Services(ISS)は、米国企業の取締役選任に関する議決権行使助言を行う際、取締役会のダイバーシティ要素を考慮する方針を無期限で停止すると発表した。これにより、2024年2月25日以降に発行される株主総会関連レポートでは、取締役の選任・再任に関する推奨を行う際、ジェンダーや人種・民族の多様性は評価基準から除外されることとなる。

ISSは毎年、BenchmarkポリシーおよびSpecialtyポリシーの見直しを行い、必要に応じて法規制の変更や市場動向を反映した例外的な更新を実施している。近年、米国ではダイバーシティ、公平性、インクルージョン(DEI)に関する議論が活発化しており、1月にはDEIに関する大統領令が発令された。これに伴い、機関投資家や企業の間でDEIの重要性やその具体的な取り組みに関する見解が分かれている。

ISSはこうした状況を踏まえ、取締役選任に関する助言基準の変更を決定した。ただし、取締役の評価は今後もBenchmarkおよびSpecialtyポリシーに基づき、独立性、説明責任、株主への対応といった要素を中心に行われる。ISSは、引き続き市場環境や法規制の動向を注視し、必要に応じてポリシーの見直しを行う方針である。

【参照ページ】
(原文)Statement Regarding Consideration of Diversity Factors in U.S. Director Election Assessments
(日本語参考訳)米国取締役選任評価における多様性要因の考慮に関する声明

関連記事

“ランキングのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 2025-3-6

    【速報・無料お役立ち資料】CSDDDの概要とサプライヤーに求められる対応 #3

    サステナビリティ推進・取引先管理をご担当の皆様へ ESG Journalを運営するシ…
  2. 2025-3-4

    米国企業の取締役会、ESGの統合を進めつつ成長戦略を優先 – 「What Directors Think 2025」調査

    2月に取締役会教育プロバイダーのCorporate Board Member、GRCソリューション…
  3. 2025-3-4

    J4CEが2024年版「注目事例集」を発表

    2月10日、循環経済パートナーシップ(J4CE)は、最新の「注目事例集」を発表した。この事例集は、…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る