カナダ・サステナビリティ基準審議会(CSSB)、初の基準を発表

12月18日、カナダ・サステナビリティ基準審議会(CSSB)は初の「カナダ・サステナビリティ開示基準(CSDS)」を公表した。これらの基準は、企業や組織がサステナビリティに関する情報を高品質かつ一貫性のある形で開示するための枠組みを提供し、サステナビリティ報告における重要なマイルストーンと位置付けられている。

グローバル基準との調和を目指すCSDS

CSSBのブルース・マーチャン暫定委員長は、「CSDSは、意思決定に有用なサステナビリティ情報の提供と社会からの信頼を構築するための重要なステップです」と述べた。今回公表された基準は以下の2つで構成されている。

CSDS 1:サステナビリティに関連する重要な財務情報の開示に関する一般要求事項。
CSDS 2:気候変動に関するリスクと機会の情報開示に特化。

CSSBはこれらの基準が国際財務報告基準(IFRS)財団が策定した「IFRS S1」「IFRS S2」と整合しており、カナダの企業や資本市場にとって有益であると強調している。

移行措置と市場の準備状況を考慮

公開草案に対する意見をもとに、以下の移行措置が最終基準に含まれた。

  • 財務諸表との整合性を考慮した報告開始日。
  • シナリオ分析の定量的側面に関する柔軟性。
  • Scope 3の温室効果ガス(GHG)排出量報告に関する追加的な移行措置。

自主性を重視し、先住民の視点を統合

CSDSは自主的な基準として提供されており、規制当局や政府によって強制されるものではない。また、CSSBは先住民コミュニティ(ファースト・ネーションズ、メティス、イヌイット)の権利や利益を反映させるべく、協力的なパートナーシップを構築している。これにより、すべてのカナダ人の声を反映したサステナビリティ報告の枠組みを目指している。

次のステップ

CSDS 1とCSDS 2の詳細は公式情報ページで確認でき、2025年1月には基準に関する教育ウェビナーが開催される予定である。登録は既に開始されている。カナダにおけるサステナビリティ報告の未来を切り開く基準が、企業と社会にどのような変化をもたらすのか、今後の動向に注目が集まる。

【参照ページ】
(原文)Canadian Sustainability Standards Board Releases Landmark Standards to Drive Consistency and Comparability in Sustainability Reporting
(日本語参考訳)カナダ・サステナビリティ基準委員会、サステナビリティ報告の一貫性と比較可能性を促進する画期的な基準を発表

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