5月29日、公正取引委員会(JFTC)は高速道路外における EV充電サービスも含めた、EV充電サービスに関する実態調査に関する報告書を公表した。
同調査では、EV充電に係る自治体の取り組み・EV充電器設置者・充電サービス事業者・ネットワークベンダーに対してヒアリング・アンケート調査を行った。ネットワークベンダーとは、EV充電器設置者に対し、充電器管理システムや会員管理システムを提供する事業者のこと。
自治体へのアンケート調査では、1,143の自治体が回答し、その中で103の自治体が自らEV充電器設置事業者を選定したと報告した。しかし、そのうち複数の事業者から選定した自治体は47で、全体の45.6%に留まる。残りの56自治体(54.4%)は、複数の事業者から選定していないことが明らかになった。また、EV充電器の置き換え時に複数の事業者から選定する予定の自治体は21(20.6%)で、選定を決めていない自治体は81(79.4%)であった。さらに、将来的にEV充電器を設置することを検討している自治体は290であった。
ヒアリング調査によると一部の自治体は、特定の事業者からの無償提供を理由に、競争入札を行わずに設置を決めていた。一方で、設置事業者の選定を公募で行い、透明性と説明責任を重視する自治体もいた。公道への設置に関しては、複数の事業者から設置事業者を選定することが望ましく、特に、より多くの事業者が参加可能な公募を実施することが望ましいとした。その際、どのような充電ニーズがあるのかを自治体自身で検討した上で、価格以外の要素も勘案して公募条件を設定することが推奨され、今後は公募の環境整備が必要となるとした。
また、自治体が設置するEV充電器の多くは、無料またはランニングコストを賄えない料金設定で提供されていると示された。これは、EVの普及を促進するための措置であるが、自治体が提供する低価格サービスは民間事業者に対して不利な競争条件を作り出す恐れもある。また、無料提供は事業の持続可能性を損なうという懸念も示された。
競争による価格競争は、技術の向上を促進するが、自治体が採算を無視した料金設定を行うことは競争政策上問題があり、民間事業者との競争関係が成り立つ場所では、自治体は採算を考慮した料金設定を行うことが求められるとした。
公正取引委員会は、今回報告書で示した考え方を経済産業省及び自治体に申し入れることにより、これらの機関や事業者において、具体的な対応策の検討や自主的な取組が進展し、EV充電サービスについて公正かつ自由な競争が促進されるだろうとの期待を示した。
【参照ページ】
(原文)電気自動車(EV)充電サービスに関する第二次実態調査報告書