SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか
2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案を公開した。これまでは、TCFDが提言している推奨開示事項の「4つの柱」に基づき、気候変動が開示されてきた場合が多かった。
しかし、2023年10月にTCFDが解散、統一的な基準としてIFRSのISSBがベースラインを策定。これを受けて日本版ISSBであるSSBJがサステナビリティの開示基準を検討してきた。2025年から日本で適用されるSSBJの開示基準の最新草案の重要ポイントを解説する。さらに、ISSBとの共通点や相違を示し、この記事の最後に、今からできる3つの準備を紹介する。
日本版のISSB基準とは?
日本では、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が主体となり、ISSBの開示基準案をベースに国内基準の導入に向けて議論し、策定を進めている。SSBJは2022年7月に設立され、IFRSサステナビリティ開示基準との整合性を保ちつつ、国内の市場関係者にとって有用な国内基準を策定することを目的とする。遅くても2025年3月末に完成され、2025年度から適用される予定だ。
ISSB(International Sustainability Standards Board)とは「国際サスティナビリティ基準審議会」という意味で、国際会計基準(IFRS)財団傘下で設立された組織。ISSBは2023年6月、世界的サステナビリティ開示基準を統一する試みとして、グローバルのベースラインとなる「IFRSサステナビリティ開示基準」を公開し、各国は導入に向けて動き出している。
■公開草案の気候変動開示案(S2号)重要なポイント
ここでは、SSBJが3月末に公開した国内サステナビリティ開示基準の最新草案の特徴と、実際に活用する際に注意しておきたい重要ポイントを解説する。ただし、ここで留意されたいのは、現時点の内容は草案であり、25年3月末までには現在のバージョンにはない変更や追加が適用される可能性があることだ。
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執筆者紹介
マルティネス リリアナ (ESG Journal 専属ライター) サステナビリティ学修士。シンクタンクにて海洋・大気環境に関する政策の策定支援を行う。国際海事機関(IMO)ではTechnical Advisorとして国際議論への参加経験を積み、その後、気候変動課題を中心に企業向けにコンサルティングを行う。非財務情報開示フレームワークからサステナビリティの国際動向まで幅広くコラムやホワイトペーパーで解説。 |