3月14日、欧州委員会は、農場での脱炭素化と環境に優しい農業を支援するため、欧州5カ国の中小規模の農業事業者に総額5,000万ユーロ(約80億円)を提供することを発表した。本資金は、欧州投資基金(EIF)が2,000万ユーロ(約30億円)を拠出しているリトアニア拠点のフィンテック企業HeavyFinanceのクレジット・ファンドから提供される。
EIFのコミットメントは、2027年までに少なくとも3,720億ユーロ(約60兆円)をヨーロッパの政策優先事項のために動員するEUプログラムであるInvestEUによって支えられている。HeavyFinanceは、欧州の農業中小企業(SME)をテーラーメイドの融資で支援する民間信用ファンドのために5,000万ユーロ(約80億円)を調達。本資金は、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ポルトガルの農業の脱炭素化を進めるためのソリューションに融資される。
本資金は、中小規模の農業企業に中期的な負債資本を提供し、環境に優しい実践を通じてCO2排出量を削減する取り組みを支援する。これには、不耕起農法(耕起を行わない、または少なくする)、化学合成肥料への依存度の低減、汚染の少ない農業機械の使用等、土壌に優しい代替技術が含まれる。
欧州連合(EU)は、土壌が重要な炭素吸収源であり、農業が2050年までに気候ニュートラルという目標を達成するために極めて重要であると認識している。本ファンドは、欧州投資基金の気候変動対策と環境サステナビリティのガイドラインに沿って、1,000ユーロ(約15万円)の投資につき年間0.376トンのCO2相当量を除去することを目標としている。
2020年に設立されたHeavyFinanceは、10,000以上の土壌サンプルを採取し、農地における炭素貯留量の測定に役立てている。同社はすでに5,000万ユーロ以上の農業融資を実現し、農業における持続可能な慣行の促進、設備の近代化、運転資金の増加を図っている。中小企業を対象とする同社は、より持続可能な農業への移行を促進するため、従来の金融機関からの融資の障壁に直面している農家に対し、1,700件以上のローンを発行してきた。
【参照ページ】
(原文)Agricultural SMEs to get €50 million to support decarbonisation as Lithuanian fintech HeavyFinance teams up with EIF and InvestEU
(日本語参考訳)欧州委員会、中小農家の脱炭素化支援で80億円を融資。 HeavyFinanceがEIFと提携