2月26日、オーストラリア企業評議会(BCA)が発表した声明によると、オーストラリア企業は、気候変動報告義務化の新法案に対応するため、準備期間を1年延長すべきである。
BCAは、新しい気候変動開示規則の適用について、企業が報告要件を適切に実施するために必要なスキルや能力を開発する時間を確保するための「トレーニングホイール」アプローチを提唱している。
本法案では、気候変動に関連するリスクと機会、バリューチェーン全体におけるGHG排出量の開示を含む、大中規模企業に対する気候変動報告義務の導入が提案されている。
本法案は、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)に監査済みの年次財務報告書を提出する必要がある全ての公開企業と、特定の規模基準を満たす自己所有の大企業に適用され、従業員500人以上、売上高5億ドル(約750億円)以上、資産10億ドル(1,500億円)以上の企業、資産50億ドル(約7,500億円)以上の資産所有者が対象となり、2024年7月1日以降の会計年度から報告が開始される。中堅企業(従業員250人以上、売上高2億ドル以上、資産5億ドル以上)は2026年7月から、中小企業(従業員100人以上、売上高5,000万ドル以上、資産2,500万ドル以上)は翌年から報告を開始する。
BCAは、「気候変動に関連する財務開示の質の継続的な改善」への支持を表明する一方で、「適切な責任のセーフハーバーと移行期間」に加え、「システムや監査能力の開発に必要な投資のための十分な時間」を求めている。
BCAはまた、オーストラリア会計基準審議会(Australian Accounting Standards Board:AASB)がまだ最終的な基準を策定中であることを指摘し、適用される報告基準に関する確実性の必要性を強調した。
BCAの声明はまた、AASBの今後の基準と、IFRSの国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が最近発表した基準との緊密な整合性を提唱している。AASBの提案は、ISSB基準に基づいているが、スコープ3(間接的なバリューチェーンからの排出量報告)や、重要な気候変動に関連する財務リスクや機会を持たない企業の報告要件など、一連の修正が含まれている。
提出された法案のもう一つの重要な提案は、新法における責任免除の延長と拡大である。政府の法律案は「修正責任アプローチ」を採用しており、スコープ3排出量やシナリオ分析など、新しい報告要件の「最も不確実な部分」に対する責任を、2027年半ばまで一時的に停止する。BCAは、本免責期間を2030年まで延長し、完全な監査要件と整合させること、また、このアプローチにすべての将来見通しに関する記述を含めること、さらに「民事訴訟に対する高いハードルを設けること」を求めている。
【参照ページ】
(原文)Climate related financial disclosures must align with international standards
(日本語参考訳)オーストラリア企業、気候報告義務化の1年延期を要求