ホルシムと44.01、セメント由来CO₂を鉱物化する実証事業　UAEで世界初、脱炭素技術の商用化探る

12月9日、建設資材大手のホルシムと炭素除去技術を手がける44.01はセメント工場から回収した二酸化炭素（CO₂）を地下で鉱物化し、永久貯留する世界初の実証事業をアラブ首長国連邦（UAE）フジャイラ首長国で開始したと発表した。セメント産業の脱炭素化に向けた新たな選択肢として注目される。

実証では、セメント製造工程から回収したCO₂を1日最大5トン処理し、地下の岩石層に注入して鉱物化させる。CO₂を化学的に安定した岩石に変えることで、長期的な漏出リスクを抑えた恒久貯留を実現する。セメント工場でのCO₂回収と現地鉱物化を組み合わせる取り組みは初めてという。

プロジェクトはフジャイラ天然資源公社（FNRC）の支援を受け、テクニップ・エナジーズとNMDCエナジーの合弁会社NTエナジーズと共同で実施する。CO₂回収にはシェルのCANSOLV技術を採用する。

ホルシムは、同実証を通じて排出削減が難しいセメント産業でのネットゼロ実現に向けた技術的実効性と事業性を検証する。44.01にとっては、欧州系多国籍企業との初の産業向け案件となり、炭素鉱物化技術の国際展開を加速させる狙いだ。

UAEは「ネットゼロ2050」を掲げ、産業部門の脱炭素投資を強化している。今回の実証は、炭素回収・貯留（CCS）と恒久的炭素除去を組み合わせたモデルケースとして、今後の商用化や他地域への展開が焦点となる。

（原文）Holcim and 44.01 pioneer carbon capture and mineralisation pilot project in Fujairah
（日本語参考訳）ホルシムと44.01がフジャイラで炭素回収・鉱化パイロットプロジェクトを開拓