AIによる金融リスク管理とコンプライアンス分野を強化、独osapiensがLucent AI買収

12月11日、サステナビリティと企業の透明性向上に向けたソフトウエアを提供する独osapiens(オサピエンス)はリスク管理向けのエージェンティックAI技術を開発するベルリン拠点のスタートアップ、Lucent AI(ルーセントAI)を買収したと発表した。今回の買収により、osapiensは金融リスク管理、コンプライアンスの自動化、AIを活用した意思決定支援の分野で事業領域を拡大する。
Lucent AIは、マックス・ウォルフ氏とモーリッツ・ウォルフ氏の兄弟によって設立された。業界データを活用しながら、リスクの特定、評価、定量化を支援するプラットフォームを開発しており、異常検知や将来のリスクシナリオの早期提示を可能にする点が特徴だ。これらはガバナンスや監査部門にとって、規制が厳しく、労力と時間を要する業務とされてきた。
同社のエージェンティックAIは、データの統合や分析、対応策や意思決定用テンプレートの提示などを自律的に行い、リスク管理や監査プロセスの多くを自動化する。標準化されたインターフェースを通じて既存のITシステムと連携できるため、導入までの期間も短いという。特に、エクセルやメール、手作業のチェックに依存している企業では、業務のスピードや正確性、拡張性の大幅な改善が期待されている。
買収後、Lucent AIの技術や製品、顧客基盤はosapiensの統合プラットフォーム「osapiens HUB」に完全に組み込まれる予定だ。最初のモジュールは2026年第2四半期から提供される見通しで、両創業者はosapiensに参画し、レジリエンスとリスク管理、情報開示・報告、製品コンプライアンスとトレーサビリティといった分野での戦略的な統合と開発を担う。
osapiensのマティアス・ユングブルート共同創業者兼共同CEOは、「今回の買収により、AIを中核に据えたリスク管理システムをポートフォリオに加えることができた。企業の透明性、安全性、効率性を高めるという当社の使命を強力に後押しする」とコメントしている。
一方、Lucent AIのマックス・ウォルフ共同創業者は、「規制の多い企業にとって、リスク管理は極めて重要かつ複雑なプロセスだ。ビジョンを共有し、成長のための資源と専門性を持つosapiensと組むことで、ソリューションの高度化と拡大が可能になる」と述べた。
規制強化や不確実性の高まりを背景に、AIを活用したリスク管理やコンプライアンス対応への需要は今後さらに高まるとみられる。今回の買収は、サステナビリティとガバナンスを軸に事業を展開するosapiensが、その競争力を一段と高める動きとして注目される。
(原文)osapiens acquires Lucent AI and expands its portfolio for financial risk management and compliance

