2024年からISSB基準(IFRS)の適用が開始されており、サステナビリティ関連情報の開示が財務報告と同様に重要性が増している。2023年にTCFDが解散したことで、企業の「気候変動」に関する開示がどのように変わるのだろうか。前回のコラムでも触れたとおり、TCFDのフレームワークとISSB基準のIFRS S2は、おおむね重なる部分が多いのが実情だが、 ISSB基準 のほうがより詳細な開示が求められているといえる。
日本の国内ではSBBJ(サステナビリティ基準委員会)が、IFRSのS1/S2に基づき、国内基準を検討している状況である。一方で、基準の発行を前にTCFDフレームワークへのさらなる理解を深めておく必要があり、国内の先進企業を参考にするとよいだろう。ここでは、2023年のTCFD開示で優秀賞を獲得したキリンホールディングス社の事例から、項目ごとに参考にしたい点を抽出する。
TCFDからISSB基準(IFRS)へ
TCFDとISSB基準(IFRS)は、企業のサステナビリティ情報開示を推進するためのスタンダードである点では、目的が一致しているものの、開示範囲や手法においては異なる点が見られる。
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