11月16日、ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した新しい調査によると、半数以上の企業がスコープ3のバリューチェーン排出量の少なくとも一部を開示しており、2年前の約3分の1から増加している。
本調査は、CO2 AI + BCG Carbon Emissions Surveyとして、BCGと企業の持続可能性管理プラットフォームであるCO2 AIが、従業員1,000人以上、売上高約1億ドル(約149億円)から100億ドル(約1.4兆円)以上、18の主要産業と23カ国にまたがる組織で、排出量の測定、報告、削減を担当する1,850人の幹部を対象に実施した。
報告書によると、調査対象となった企業のうち、スコープ1、2、3の排出量を包括的に測定・報告している企業はわずか10%で、この指標については過去1年間進展が見られず、2021年の9%からわずかな増加にとどまっている。
しかし、完全な排出量報告については進展が見られないものの、報告書は改善の兆しを示しており、回答者の53%が、自社の炭素排出量報告に少なくとも部分的なスコープ3排出量が含まれていると報告しており、2021年の44%から、また2021年の34%から増加している。スコープ3排出量は、サプライチェーンや製品の使用など、企業が直接管理できないバリューチェーン領域で発生するもので、一般的に測定と管理が最も難しいが、ほとんどの企業の排出量インパクトの大部分を占めており、多くの場合、排出量全体の90%以上を占めている。
同様に、バリューチェーン排出量の削減目標を設定する企業が増えており、スコープ3の目標設定率は35%で、昨年の29%、2021年の23%から上昇した。
しかし、目標を設定する企業が増える一方で、現在の目標を達成できている企業は少なく、過去5年間で75%以上の削減目標を達成できたと回答した企業は、昨年の17%から14%にとどまった。調査では、企業の排出削減目標の達成を阻む主な障害について調査し、マクロ経済情勢を「極めて重大な」または「主要な」課題として挙げた経営幹部が42%と最も多く、次いで資本の制約が39%、未熟な削減技術が35%であった。
脱炭素化には大きなビジネス上のメリットがあると認識されているにもかかわらず、排出削減目標が進展していない。回答者の半数以上が、脱炭素化のメリットとして風評価値を挙げており、その他のメリットとしては、コストの削減(50%)、評価の向上(44%)、収益の増加(41%)、優秀な人材の獲得(38%)などが報告されている。回答者の40%は、排出削減目標を達成することによる年間財務上の利益を少なくとも1億ドル(約149億円)と見積もっている。
この報告書では、企業が排出量削減を達成するための最も重要な要因についても調査しており、39%の経営幹部が、排出量削減の取り組みに最も大きく貢献する要因の1つとしてテクノロジーの導入を挙げている。今後3年以内にベースライン排出量管理に38%、サプライチェーンの追跡に36%、排出量の会計と報告に30%のエグゼクティブがAIを活用すると予想している。
【参照ページ】
(原文)Why Some Companies Are Ahead in the Race to Net Zero
(日本語参考訳)BCG調査:半数以上の企業がスコープ3排出量を報告