UNGCとCBI、気候変動対策におけるCFOの可能性を概説

9月21日、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の「SDGsのためのCFO連合と気候ボンド・イニシアティブ(CBI)は、新しい報告書「低炭素化の推進における最高財務責任者(CFO)の役割」を公表した。本報告書は、CFOが低炭素化への対応や遅れに内在するリスク・機会を管理する上で重要な役割を果たすことを強調している。

同書では、企業に対し、物理的・規制的・財務的な気候変動リスクや企業価値の低下、長期的な風評被害の可能性を指摘している。反面、CEOやCFOによる積極的な行動は、企業に持続可能な長期的競争優位性をもたらす可能性があると述べた。

本報告書は、時価総額9,300億ドル(約140兆円)の企業を代表する30人以上のCFOへのインタビューに基づいており、CFOが低炭素社会への移行を推進する上で極めて重要な役割を果たすことができることを明らかにしている。インタビューは2023年前半に実施された。インタビューに応じたのは、ABインベブ、エネル、EDP、ブラスケム、ベライゾン、テスコ、セメックス、ダノン、ハイデルベルク・セメント、ペトロナス、シュナイダーエレクトリック、アストラゼネカ等。

移行計画の策定を主導した人の割合は、CEOが33%、CFOが27%、取締役会が13%、経営陣が13%、サステナビリティチームが13%。CFOは、純粋な財務戦略を策定するだけでなく、ESG評価や非財務指標が株価や債券発行条件にも影響を与えていることも明らかとなった。また、CFOは、財務情報と非財務情報の一貫性の確保や、グリーンボンド・グリーンローン等での資金調達おける役割も認識している。

【参照ページ】
(原文)30 Chief Financial Officers representing nearly $1 trillion market cap outline the opportunities of climate action
(日本語参考訳)UNGCとCBI、気候変動対策におけるCFOの可能性を概説

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