7月25日、国際オリンピック委員会は、2024年パリ五輪の期間中、1,300万食からの二酸化炭素排出量を半減させる等の目標が含まれた「フード・ビジョン」と、それらを達成するための戦略を発表した。
パリ・オリンピック・パラリンピック組織委員会は、大会開催地選考時から、大会の二酸化炭素排出量を前回より半減させ、責任ある生活様式を推進することにコミットしていた。食事からの二酸化炭素排出量が占める割合は小さいものの、料理をブランドとするフランスの組織委員会は、排出量削減を含む食事に関する努力を強調している。
そこで、同組織委員会は「パリ2024年フード・ビジョン」を発表。その中には、4週間で提供される1300万食の平均二酸化炭素排出量を半減させること、使い捨てプラスチックを半減させること、製品の80%を地元またはフランス国内で調達すること、食品廃棄物を削減し、消費されなかった資源を100%回収すること、すべてのケータリング機器を再利用すること、障害者や恵まれない背景を持つ人々の雇用を全体の10%(オリンピック・パラリンピック村では15%)確保することなど、挑戦的な目標が含まれている。
「フード・ビジョン」は、フランス全土の代表的な団体と農業食品セクター全体との広範な協議を経て策定された。農業、ケータリング、NGO、栄養士、そしてパリ五輪のパートナーに至るまで、合計120の団体が18ヶ月間にわたり、関連セクターの大部分と協議を行った。また、200人のアスリート(その80%は外国人)を対象に、彼らの食習慣、文化的ニーズ、嗜好について調査を行い、その結果、アスリートの大多数(98%)は、自分たちの食事が社会や環境に与える影響を「懸念している」か「非常に懸念している」と回答した。
本ビジョンの達成戦略では、いくつかの方向性が示されている。まず、食材に関しては、全ての食材はサステナビリティ認証食材にしたうえで、80%はフランス国内、25%は会場から250km以内で調達する。 アスリートの文化的ニーズを満たすために必要な輸入製品(カカオやバナナ等)は、最高の環境基準に従う。全商品の少なくとも30%はオーガニックで、乳製品は100%フランス産を使用する。そして、野菜と植物性タンパク質の量を倍増させることで、食事の二酸化炭素排出量を半減させる。
次に、パッケージや食器に関しては、使い捨てプラスチックの50%削減(2012年ロンドンを基準とした重量比)を達成するために、ワールドワイド・オリンピックのパートナーであるコカ・コーラによって、パリ2024の全会場に700の水飲み場とソーダ水飲み場が設置される。すべてのプラスチックは回収・リサイクルされ、食器類は再利用可能で、テイクアウトのケータリングには返却可能でリサイクル可能な代替品が使用される。
また、オリンピック村に必要な10万枚の皿はすべて、その他の設備やケータリングのインフラと同様、大会後にイベント管理のスペシャリストであるSodexo Live!によって再利用される。
残った食品はすべて寄付されるか、堆肥化されるか、再生可能なガスの生産に使用され、サプライチェーンの上流工程と食品廃棄物の最小化に貢献する。さらに、ケータリングの仕事の10分の1は、障害者や社会的に排除された人々のために確保される。