5月25日、自動車大手Stellantisは、同社のコーポレートベンチャーファンドStellantis Venturesを通じて、3次元グラフェン開発スタートアップLytenへ投資したと発表した。
グラフェンとは、炭素原子が六角形の網目状に結合した非常に薄いシート状の素材で、強度、薄さ、伝導性に優れている。Lytenは、独自技術で天然ガス由来の3次元グラフェンを開発しており、この材料を活用して輸送分野の脱炭素化を図りながら、自動車の性能と顧客体験を向上させることを可能にする。同社は、カリフォルニア州サンノゼの施設で初期生産量を拡大し、まもなく第2段階の生産能力を持つ場所を探索する予定である。
Stellantisの投資は、リチウム硫黄EVバッテリー「LytCell」、軽量化コンポジット、新規車載センシングなど、モビリティ業界向けのLyten 3次元グラフェンアプリケーションの商業化を加速することを目的としている。従来のリチウムイオン電池とは異なり、Lytenのリチウム硫黄電池は、ニッケル、コバルト、マンガンを使用しないため、現在のベストインクラスの電池よりも二酸化炭素排出量が60%少なくなると推定される。
Stellantisは、自動車およびモビリティ分野で革新的かつ持続可能な技術を開発する初期および後期段階のスタートアップへの投資に取り組むベンチャーキャピタルファンドとして、2022年にStellantis Venturesを立ち上げた。 Stellantis Venturesは、3億ユーロ(約458億円)の初期資金を原動力として、同社の戦略計画「Dare Forward 2030」の重要な構成要素であり、2030年までにCO2を半減させる大幅な排出削減、2021年の指標のベンチマーク、2038年までにカーボン・ネット・ゼロを達成し残りの排出量を1桁台の割合で補償するなどの中核目標を定めている。
【参照ページ】
(原文)Stellantis Invests in Lyten’s Breakthrough Lithium-Sulfur EV Battery Technology
(日本語参考訳)Stellantis、Lytenの画期的なリチウム硫黄系EV用電池技術に出資