4月17日、東レは製糖工場で発生するサトウキビ絞りかす(余剰バガス)およびでんぷん工場で発生するキャッサバ芋絞りかす(キャッサバパルプ)などのバイオマスを原料として、繊維や樹脂を製造する際に共通原料となる、非可食植物由来の糖を製造する技術をDM三井製糖と共同で実証し、基本技術を確立したことを発表した。
本技術を、東レが現在開発中の、糖からモノマーを製造する技術と組み合わせることで、バイオマスから繊維・樹脂・フィルム等に用いるバイオマスポリマーの製造を一貫して行うことが可能となり、資源循環型社会の実現への一歩となることが期待される。
本実証は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を得て、タイに設置した実証設備を用いて行われた。本取り組みにおいて、東レは、酵素を活用するバイオ技術と水処理分離膜の技術を融合した「膜利用バイオプロセス」により、非可食バイオマスに含まれるセルロース由来の糖を分離・精製・濃縮する技術をプロセス実証した。また、省エネ効果として、糖液に含まれる水分を熱によって蒸発させ濃縮する従来の製造システムと比較して、50%以上のCO2削減が可能であることも検証した。
また、同社は、非可食糖を原料として、微生物発酵技術と、分離膜を活用した精製技術を組み合わせた独自の合成法により、ナイロン66の原料となる100%バイオアジピン酸を製造する技術を開発中である。
今後は、タイの製糖企業やでんぷん製造企業などのバイオマス保有者と連携し、非可食糖の供給体制を構築し、現在開発を進めている非可食糖からのアジピン酸製造技術のスケールアップを進める。非可食糖をグローバルに化学品企業に提供し、石油由来の化学品を、食糧と競合しない植物由来の製品に置き換えることで、循環型社会の実現への貢献も掲げている。