3月22日、損害保険会社Chubbは、石油・ガス採掘プロジェクトにおいて、気候変動に焦点を当てた新しい引受基準を発表し、メタンガス排出量を削減する根拠に基づいた計画を顧客が採用することを保険適用の条件とした。
メタン排出量の削減は、近年、気候変動に対処するための戦いの中心的な役割を担っている。農業、化石燃料の生産・輸送、石炭採掘、埋立地などの活動から排出されるメタンは、非常に強力な温室効果ガスであり、CO2の80倍もの温暖化効果があると言われている。しかし、大気中での寿命がCO2の50~100年に対して10~12年と非常に短いため、メタン排出量を短期的に削減することで、今後数年間は気候に大きな影響を与えることができる。
新基準の下、Chubbはメタン排出を管理するためのエビデンスに基づく計画を実施する顧客に対し、引き続き保険を提供すると述べる。本計画には、漏水検知と修理、緊急時以外の換気の廃止のためのプログラムを導入することが含まれる。さらに、顧客はフレアリングによる排出を削減することが実証された対策を採用することが要求される。
また、保護された保全地域に関する新たな基準を導入し、政府が保護する地域での石油・ガスプロジェクトには保険を適用しないことを約束した。
Chubbは2021年に、2050年までにネット・ゼロ経済への世界的移行を正式に支援すると発表し、自社のグローバル事業においてカーボンニュートラルを達成する目標を掲げているが、同社の気候変動方針では、「化石燃料関連のすべての引受活動の除外や、新しい化石燃料供給の支援の全面禁止に同意できない」とし、代わりにエネルギー移行を通じて顧客と協力することを希望している。しかし、同社は、石炭火力発電所の新設・運営やオイルサンド・プロジェクトのリスク引受を中止するなど、最も二酸化炭素を排出する化石燃料活動の引受に関する制限を実施している。
また、今年初めには、新しいグローバル気候ビジネスユニットであるChubb Climate+を立ち上げ、炭素への依存を減らすための新しい技術やプロセスの開発・導入に取り組む企業への保険商品・サービスの提供に注力している。
【参照ページ】
(原文)Chubb Announces New Climate and Conservation-Focused Underwriting Standards for Oil and Gas Extraction
(日本語参考訳)Chubb、石油・ガス採掘のための気候・自然保護に重点を置いた新しい引受基準を発表