2月28日、米国下院は、退職金制度の受託者が気候やESG要因を考慮することを認める労働省(DOL)の新法を阻止するための法案を承認し、共和党が提出した反ESG決議案を可決する動きを加速させた。
本決議は、12月に可決され、1月30日付で発効したDOLの「プラン投資の選択と株主の権利行使における慎重さと忠実さ」規則を不承認とするためのものである。同規則は、ERISAプランのファンドマネージャーが投資プロセスにESGの考慮事項を含めること、受託者が委任状投票など株主の権利を行使する際に気候やESG要因を考慮することを認めている。
DOLの裁定は、これらのファンドにおける気候変動およびESG要因の統合を阻止しようとするトランプ政権の動きを大きく覆すものだった。2020年6月、トランプ政権のDOLは、ERISAプランにおけるESG投資に事実上厳しい制限を加える規則案を発表していた。
投資家や他のサステナビリティ重視のグループから、同提案は時代遅れで逆効果であると非難する大きな反発があったものの、同年末にDOLによって最終決定された。ESG投資家へのさらなる打撃として、DOLは委任状投票に関する規則も発表し、投資運用会社が投資を通じてサステナビリティ目標を推進する能力に影響を与え、ESG問題についての委任状投票は投資家の利益にならないことを示唆した。
2021年5月、バイデン大統領は、投資家の貯蓄や年金を気候関連リスクから守る政策を実施するよう連邦政府機関に指示し、その行政命令の一環として、労働省にトランプ時代の規則の取り消しが検討された。これにより、昨年末にDOLの規則が制定された。
本規則の阻止決議は、議会審査法を用いて行われている。議会審査法により、議会議員は規則の施行後60日以内に不承認を決議し、今後同様の規則が施行されることを防ぐ。
今回の決議案が上院で成功するかどうかはまだ不明だが、共和党は民主党のジョー・マンチン上院議員の支持を主張しており、同案が通過するのに十分な支持を得る可能性がある。
【参照ページ】
(原文)U.S. House votes to block ESG investment rule in latest culture war salvo
(日本語参考訳)バイデンESG投資ルールの阻止を求める共和党決議が米下院で可決