国連報告書、1.5度目標達成のための世界的な気候変動対策は不十分と指摘

国連報告書、1.5度目標達成のための世界的な気候変動対策は不十分と指摘

10月26日、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が発表した新しい報告書によると、パリ協定の署名国193カ国による現在の気候計画は、温暖化を1.5℃に抑えるという目標の達成には不十分であることが明らかになった。

新報告書「パリ協定の下での国別貢献」は、パリ協定下の166の締約国が行った気候に関する暫定的な約束を検証した。現在の各国の約束を合わせると、今世紀末までに世界は約2.5℃の温暖化の軌道に乗り、気候変動による最悪の影響のいくつかを回避するために必要なレベルをはるかに上回ると指摘している。

本報告書の公開は、11月6日から18日までエジプトのシャルムエルシェイクで開催されるCOP27国連気候変動会議に先駆けて行われたもの。昨年のCOP26会議の最終合意であるグラスゴー気候条約のハイライトの一つは、各国に対して2030年の排出目標、すなわち国家決定貢献(NDC)を見直し、強化するよう求めたことであった。

しかし、UNFCCCの報告書によると、NDCを更新する誓約を果たした国はごくわずかであるという。

しかし、報告書では、各国の気候変動対策に進展の兆しがあることも示された。現在の誓約では、2030年までに2010年比で10.6%の排出量増加につながると評価されたが、これは昨年の評価である13.7%の増加から大幅に改善された。さらに、昨年の評価では2030年以降も排出量の増加が続くとされていたが、本報告書では現在の約束に基づき、2030年以降も排出量の増加はないと予測された。

【参照ページ】
(原文)Climate Plans Remain Insufficient: More Ambitious Action Needed Now | UNFCCC
(日本語訳)気候変動対策は依然として不十分。より野心的なアクションが今必要

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…
  3. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…

ピックアップ記事

  1. サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025-8-22

    サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025年8月8日、金融庁は、「2027年版EDINETタクソノミの開発案」を公表した。これは、I…
  2. 2025-8-19

    PR【対談&ワークショップ】第一生命が語る「ESG開示」と「企業価値向上」

    毎回満員御礼でご好評をいただいているESG Journal 会員向けのESG Journal …
  3. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る