9月、格安航空会社easyJetは、気候変動への影響に対処し、2050年までに排出量ゼロのフライトを達成するための計画をまとめた「ネット・ゼロ・ロードマップ」を発表した。本計画では、二酸化炭素排出量ゼロ技術の開発と導入に重点を置いており、特に水素を利用した飛行に焦点を当てている。
また、同計画には、航空会社が短期的な対策と見なしている「分野外カーボンオフセット」や、EU排出権取引制度やCORSIAなどのメカニズムからの移行も含まれている。
航空業界は、温室効果ガス(GHG)排出の大きな要因として注目されており、世界の排出量の2~3%を占めている。この数字は、対策を講じなければ、今後数十年の間に劇的に上昇する可能性がある。航空機の効率化、持続可能な航空燃料(SAF)の開発、電気や水素を利用した低炭素またはゼロ・カーボン推進システムの航空機の開発など、航空機産業が気候に与える影響に対処するため、いくつかの取り組みが進められている。
easyJetは、そのロードマップが今日の知識と技術的展望に基づいていると述べ、過去2、3年の間に「二酸化炭素排出ゼロの技術の開発が指数関数的に加速している」と指摘している。現在の進歩に基づき、easyJetは水素を最も有望なゼロエミッション技術として特定した。
同航空会社は、Airbus、GKN Aerospace、Cranfield Aerospace Solutions、Wright Electricなど複数のパートナーと協力してゼロ・カーボン・エミッション技術の加速に取り組んでいる。また、ロールスロイスとの提携では、数百万ポンドを投じてナローボディ機用の水素燃焼エンジン技術の開発をサポートすると発表している。
easyJetのロードマップによると、2050年までに乗客1人当たりの炭素排出量を78%削減することを目指しており、残留する排出物については、大気中から炭素を物理的に除去して地下に永久に貯蔵する炭素除去技術で対応する。同社は、炭素除去技術の開発をサポートする契約をAirbusと締結している。
ゼロエミッション技術の発展に伴い、easyJetはSAFを使用し、排出量の削減を実現する予定。同航空は、今後5年間にロードマップで必要とされるすべてのSAFを、ジェット燃料供給会社のQ8Aviationと契約したと発表した。
ロードマップに記載されているその他の施策には、運航の改善と効率化、機材の更新、空域の近代化などが含まれる。同社は、航空機の降下を最適化して大幅な排出量削減を実現するため、航空機のソフトウェアに数百万ポンドを投資し、今後数年間で210億ドル(約3兆円)の定価投資を行い、航空機を更新する計画を発表した。また、欧州の公的機関と協力し、より環境に配慮した効率的な航空交通管理システムの導入に向け、空域の近代化を提唱しているという。
easyJetは、オフセットからの移行を視野に入れつつ、2022年末までは予約したフライトのオフセットを継続し、2023年には顧客に任意のオフセットオプションを提供すると述べている。