9月8日、静岡県裾野市はSDCC構想の終了を発表した。裾野市によると、SDCC構想を終了するからといって、デジタル化や、ウーブン・シティとの連携、岩波駅の周辺整備事業を止めるわけではないという。
SDCC構想はスーパーシティを見据えたスマートシティを実現するための構想として策定し、2020年3月23日に発表した。策定から2年間において、SDCCコンソーシアムやSDCC構想への賛同者と43の実証実験などを実施してきた。他方、「スマートシティの実現」を目的にICT技術の実証を進めることは、先進的である反面、市民生活に直接繋げることが難しく、市民には浸透しにい、という課題が生じていた。
また、SDCC構想策定当時とは、市の置かれた状況も大きく変化し、加えてSDCC構想による近隣市町と比較した優位性が薄れてきたことから、SDCCコンソーシアム会員各位へSDCC構想を具現化する取り組みの継続を説明することも難しい状況となった。
現在、同市は「日本一市民目線の市役所」というミッションを掲げている。スマートシティやスーパーシティといった大きな構想を目指すのではなく、原点に立ち返り、生活に身近な地域の課題一つ一つを解決していくことこそが、市民に求められていると考えている。
今後は市民目線で、デジタル技術を最大限活用しながら、市民生活を豊かにする取り組みを推進していく。
具体的には、「デジタル目安箱」「飛び出す市長室」などの市民広聴の充実により市民ニーズを特定することや、庁内の人材を育成し、市民サービスの改善や業務改善を図ること、民間事業者等と連携して地域や市民の課題を解決することなどを進めていくという。
トヨタ自動車株式会社様が手掛けるウーブン・シティはトヨタが自己資金・自己所有の土地で進める実証実験の街であり、市が独自にスマートシティを目指すという主旨であったSDCC構想とは直接的な関係はない。
ウーブン・シティは2024年から2025年の一部開所に向けて引き続き建設が進められるため、今後とも連携を図っていくという。また、ウーブン・シティの開所を見越した、市の岩波駅周辺整備事業についても継続していく。