8月9日、公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、井の頭自然文化園、上野動物園、京都市動物園、那須どうぶつ王国(五十音順)の4園の協力のもと、野生動物のペット利用に潜む絶滅・密猟や密輸・感染症・動物福祉・外来種のリスク(5つのリスク)の認知を高め、野生動物“ペット化”の見直しを訴えるキャンペーンを開始する。2022年8月9日(火)より順次、6種類の動物において、野生の生態や習性、それに伴うペットとしての飼育の難しさ、そして5つのリスクをまとめた動画コンテンツ「飼育員さんだけが知ってる あのペットのウラのカオ」を公開する。
日本は、世界有数の野生動物ペット市場を保有している。2021年のペット利用される野生動物の輸入頭数は推定40万頭を上回り、近年増加傾向にある。犬猫以外の動物販売業の営業所数も年々増加し、2021年には5,413事業にものぼる。WWFジャパンが2021年2月に実施した、15歳~79歳の1,000人を対象にした意識調査によると6人に1人(17%)がエキゾチックペット(ウサギやハムスターなどペットとして家畜化されている小動物はここに含まれていない)を「飼ってみたい」と回答したことが明らかになった。一方で、こうしたペット飼育に5つのリスクがあることを68%が「良く知らない」と回答した。
5つのリスクに関する詳細は以下である。
絶滅
IUCN のレッドリスト掲載動物(約85,000 種)の20%が絶滅危機種(CR,EN,VU)に指定され、そのうち11%でペット・展示利用が確認されている。(2022年6月現在)
(例)コツメカワウソは、過去30年間で、個体数は30%以上も減少。現在IUCNのレッドリスト危急種(VU)に指定されている。
密猟・密輸
2007 ~2018 年に合計78 件、1,161 匹の動物が、日本向けの密輸として税関で発見された。
(例)スローロリスは、2007年〜2018年の12年間で119頭が日本向けの密輸として税関で発見された。
感染症
野生動物は、様々な「動物由来感染症(人獣共通感染症)」の病原体を保有している可能性がある。
動物福祉
動物福祉の指標である、飢えと渇き、不快、痛み・傷害・病気、恐怖や抑圧、正常な行動を表現の「5つ自由」を実現するのは極めて困難である。
外来生物
アライグマやグリーンアノールなど、ペット目的で動物が野外に遺棄され、在来種やその土地固有の生態系に悪影響を与える事例が多発している。
【参照ページ】
動物園 × WWFジャパン 野生動物の”ペット化”の見直しを訴えるキャンペーンを開始 ~動画「飼育員さんだけが知ってる あのペットのウラのカオ」を公開~